東芝（東京都港区、田中久雄社長）は10月9日、電力小売事業者の業務代行などエネルギーマネジメントサービスを手掛けるエナリス（東京都千代田区、池田元英社長）向けに蓄電池システム10,000台を受注したと発表した。受注した蓄電池システムは、エナリスが電力を販売する全国の法人顧客向けに、電力供給量と電力需要量を一致させることを目的に設置するもの。東芝ITコントロールシステムを通じて、2015年度末までに順次納入していく予定だ。
　今回同社が受注したのは、定格出力容量10kW、蓄電池容量9.9kWhの蓄電池システム。リチウムイオン二次電池「SCiB」を搭載しており、約1万回以上の充放電可能な長寿命設計のほか、高い安全性や低温動作などの優れた特性が評価され、受注に至ったとしている。
　エナリスは、この蓄電池システムを需要家に設置し、遠隔で充放電管理を行う。再生可能エネルギーの出力変動や気温変化によって生じる電力の需要と発電との差を軽減する効果を期待しており、需要家側におけるエネルギーバランスを最適化することができるという。これにより、電力小売事業者にとっては、発電量が需要量に対して不足した場合に義務付けられている電力補給に要する費用削減が可能となり、需要家にとっては、ピークカット制御による契約電力の削減や、安価な夜間電力を蓄電し、昼間に放電することによる電力料金の削減が可能になるとしている。また、災害などによる停電時のバックアップ電源としても使用できる。
　同社は、「今回の蓄電池システムの受注を通じて、電力の需要家側を含めたエネルギーマネジメントによる電力供給の安定化に貢献します。また、今後の供給側・需要側双方での蓄電池システムの普及拡大に向け、グローバルに事業を展開していきます」とコメントしている。