シャープを買収した電子機器受託製造大手の台・鴻海精密工業は4月2日、シャープの太陽光関連事業を継続していく考えを示した。だが、再建の柱はスマホなどに搭載する次世代ディスプレー。鴻海の郭台銘会長はシャープの省エネ液晶『IGZO』や有機EL技術の可能性を強調し、太陽光事業についてはほとんど触れなかった。
　鴻海とシャープは2日、両社の経営トップが調印式に臨み、鴻海がシャープに3888億円出資し、シャープの発行済株式総数の3分の2以上を取得することを正式に決めた。今後シャープは鴻海の傘下で経営再建を目指す。
　郭会長は、「シャープのIGZO技術は世界一」と語り、シャープの『IGZO』や有機EL技術で再建を図る方針だが、「私の頭の中には明確なロードマップがある」としつつも、「今日の段階で計画の詳細を話すことはしない」と、具体的な戦略は語らなかった。
　シャープの高橋興三社長は、「経営再建に向け抜本的な構造改革を検討するなか、幅広いIoT（モノのインターネット）製品の開発に取り組む鴻海からの資本提携を受け入れることを決めた」と経緯を述べた。
　一方、シャープの太陽光関連事業については、鴻海の戴正呉副総裁が、「ポリシリコンの長期契約などで損失が生じた問題は過去の話。今後はスマートハウス事業に力を入れていく。太陽電池は商材の一つ」とするにとどめた。
　シャープの太陽電池事業は鴻海の傘下で継続されることになるが、具体的な事業戦略はまだ示されていない。