[特別対談第9回]フォノソーラー耿耿副総経理×ESI土肥宏吉社長

2017.01.01

PVeyePR

 品質とコストヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長と業界のキーパーソンの特別対談。お相手は中国国営スメックグループの太陽電池メーカー、フォノソーラーの耿耿副総経理だ。高品質な太陽光パネルを製造する同社を迎えて、「品質とコスト」というメーカーの至上命題について語り合った。

土肥氏●貴社の太陽光パネルは、中国メーカーとしてコスト競争力もありますが、同時に高品質です。高品質な製品は割高で、安価な製品は低品質というのが世の常ですが、双方を追求されているので、非常に難しいことに挑戦しておられるのでしょう。
 そこで今回は、品質とコストというユーザーからの2大要求にメーカーはどう応えていくべきか、ご意見を伺いたいと思います。では、簡単に貴社の紹介からお願いします。

耿氏●スメックグループは1978年に設立された中国の国営企業で、現在世界に17の支社を構え、年商は約8000億円です。造船や大規模工事、紡績アパレルなど、複数の事業を展開していますが、太陽光発電も主力事業のひとつです。実はスメックグループの経営トップ、祭済波総裁は、2004年にフォノソーラーを立ち上げて事業を率いてきた人物です。我々は今、グループを上げて太陽光発電事業を推進しています。
 現在フォノソーラーの年産能力は、太陽光パネルが1GW、太陽電池セルが700MWで、太陽光パネルの累計出荷量は3.5GWに達しています。最近は日本への展開を強めており、ESIさんには大変お世話になっております。

土肥氏●いえいえ。私がフォノソーラーさんの存在を知ったのは、数年前の展示会でした。当時ドイツのEPC大手フェニックスソーラーでCTOを務めていたマンフレッド・べヒラー氏が貴社の財務健全性と貴社の製品を高く評価されていたのが印象的で、興味を持ちました。
 実際、欧州の権威ある第3者機関DVNGLが主要13メーカーの太陽光パネルの長期安定性を7つの試験で評価したところ、トップの京セラさんに次いで第2位にランクインしたのがフォノソーラーさんでした。
 それぞれの品質評価テストに全て合格したメーカーさんも、京セラさんとフォノソーラーさんの2社だけでした。この要因について、どのようにお考えでしょうか。

耿氏●確かに、日本や欧米の製品と比べると、中国の製品は割安ですが、低品質です。これは日欧米と中国の文化的価値観の相違から生じたというよりは、経営者の事業観の違いによるものだと私は思います。
 中国の経営者は非常にアグレッシブで、日欧米の経営者とは異なる雰囲気です。中国ではどの分野でも常に競争が激しいので、彼らは勝ち抜くためには価格しかないと考えているのです。消費者にモノを売るとき、〝割安〞を提供するのが最も分かりやすいからです。
 しかし、長期的に見れば、これは間違った戦略だと思います。価格競争で勝ち抜くためには、企業は生産規模を拡大しなければなりませんが、市場は都合よく拡大し続けるとは限りません。縮小に転じれば、在庫が余り、経営が悪化してしまうのです。それでもコストを落すにはどうするか。製品の品質を落として原価を下げる他に術はなくなってしまいますが、そうすると、信用を失います。これがまさに中国の太陽光発電業界で起こっていることです。
 これらは、日本ではかなり前に起こったことで、今では大手企業は投資に慎重ですが、中国では未だそこに至っていないのです。中国メーカーは、最低でも1〜2年で事業を成功させようと躍起で、5年以上待つことができないのです。

土肥氏●では、他の中国メーカーと違って、貴社はなぜ高い品質を維持し続けることができるのですか。

耿氏●当社には、〝品質の高いビジネス〞を継続していこうという方針があります。品質の高いビジネスとは、いかなる状況にも耐えられる強いビジネスのことで、それは、自社と顧客、そして協力会社も合わせた3者が等しく利益を得る関係を築くことと考えています。つまり、3者の関係が崩れてしまうと、ビジネスは破綻し、当社は存続できない。だからこそ、当社は顧客の利益、協力会社の利益に配慮して、製品の品質維持に努めているのです。
 そして、この理念を社員一人ひとりが共有している点も当社の特徴です。スメックグループには複数の子会社があり、各企業が事業を主体的に運営しています。というのも、各子会社では、自社株の65%をその会社の社員が保有しており、中央政府の保有率は35%とマイノリティなのです。

土肥氏●なるほど、顧客第一主義の事業理念が社員一人ひとりに浸透しているからこそ、品質とコストの両面を追求していく体制が築かれていったわけですか。
 今後厳しい局面を迎える日本の太陽光企業が、踏み止まって事業を継続できるかどうか、それも最後は確固とした事業理念を社員同士が共有し合っているかどうかでしょうね。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
〒100-6512‌東京都千代田区丸の内1-5-1‌新丸の内ビル12階
TEL:03-6757-9065‌‌FAX:03-6757-9066‌‌
http://www.e-solar.co.jp

2022.07.27

PVeye

ヤマガタデザイン、山形県内でPPA展開 教育分野に資金還元

街づくり会社のヤマガタデザイン(山形県鶴岡市、山中大介社長)は2022年7月、太陽光発電のEPC企業、FD(愛知県刈谷市、鈴木政司社長)と、冠婚葬祭業のジョインの施設に太陽光発電設備を設置した。第1号続きを読む

2022.04.08

PVeye

伊藤忠商事、米国に再エネ開発会社設立

 伊藤忠商事は2022年3月24日、米国で再生可能エネルギー発電所開発会社を設立したと発表した。再エネ発電所の開発に特化する事業会社を立ち上げ、効率的な開発と収益の拡大を狙う。主に太陽光発電所を開発し続きを読む

2022.04.07

PVeye

北海道電力、太陽光ゼロ円設置開始 新築住宅向け

 北海道電力は2022年3月1日、新築住宅の所有者が住宅用太陽光発電設備を初期の負担なく設置できるサービスを開始した。顧客とリース契約を結び、毎月定額の料金を徴収する。
 同社は、今回の続きを読む

2022.03.08

PVeye

セイコーエプソン、富士見事業所に太陽光導入 SMFLみらいとPPA

 プリンター製造のセイコーエプソン(小川恭範社長)は2022年2月15日、長野県富士見町内の事業所に太陽光発電設備を導入した。三井住友ファイナンス&リース子会社のSMFLみらいパートナーズとPPA(電続きを読む

2022.03.07

PVeye

キユーピー、FIT太陽光を実質再エネに 神戸工場にはPPA導入

 食品大手のキユーピー(長南収社長)は2022年2月20日、既設の太陽光発電設備を活用して渋谷本社と研究施設で使用する電力を実質再生可能エネルギー電力に切り替えた。神戸工場にはPPA(電力売買契約)で続きを読む

2022.03.02

PVeye

横浜環境デザイン、PPAで太陽光導入

 太陽光発電設備の販売・施工やO&M(管理・保守)を手掛ける横浜環境デザイン(横浜市、池田真樹社長)は2022年2月7日、マテックス(東京都豊島区、松本浩志社長)の横浜事業所に太陽光発電設備と蓄電設備続きを読む

2022.03.01

PVeye

エムケイジャパン、可搬型蓄電設備発売 蓄電容量2kWh

 中・イーノウの国内総代理店であるエムケイジャパン(東京都荒川区、林軍社長)は2022年2月2日、電子商取引サイトでイーノウ製の可搬型蓄電設備を発売した。従来品より価格を抑え、民生用の非常用電源として続きを読む

2022.02.28

PVeye

シン・エナジー、リコー子会社にPPAで太陽光カーポート導入

 新電力会社のシン・エナジー(兵庫県神戸市、乾正博社長)は2022年2月16日、リコー(山下良則社長)の100%子会社、リコーインダストリー(神奈川県厚木市、戸倉正社長)に太陽光パネルを搭載したカーポ続きを読む

2022.02.17

PVeye

グッドオンルーフス、アフリカに太陽光無償提供 国連開発計画と提携

 アフリカで電化事業を手掛ける一般社団法人グッドオンルーフス(東京都千代田区、草賀純男代表理事)は2022年1月21日、国連開発計画のブルキナファソ事務所(マチュー・シオヴェラ代表)と契約を結び、太陽続きを読む

2022.02.12

PVeye

西海市、日産自らと脱炭素化で協定締結

長崎県西海市は2022年1月28日、日産自動車(内田誠社長)ら9社と市内の脱炭素化に向け、連携協定を締結した。電気自動車や再生可能エネルギーを普及させ、脱炭素化を進めつつ、災害に強い町づくりを目指す。続きを読む