「欧州のPV技術を日本へパネルからO&Mまで拡大」 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの事業理念

2015.03.01

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 太陽光専門商社のヨーロッパ・ソーラー・イノベーション(横浜市中区、土肥宏吉社長)が躍進している。2015年6月期のモジュールの販売量は50MWを超える模様で、PCS(パワーコンディショナ)など関連商材の販売も好調だ。

 同社の設立は2012年7月。FIT(固定価格買取り制度)の始動と同時期に創業した。それまでの日本の太陽光市場は年間1GW規模。住宅用が大半で、産業用は100MW程度の需要規模しかなかった。だが、FIT導入を機に拡大することは誰もが予測しており、創業者の土肥氏もその市場性を見込んで設立に踏み切ったわけだが、土肥氏は再エネ先進国のドイツで太陽光商材の販売に携わっていただけに、負の側面にも着目していた。
 「バブルのように需要が拡大すると、レギュレーションをはじめ、供給が追いつかないなど様々な問題が生じると思っていました。しかし発電所として電力インフラの一端を担うわけですから、少なくとも品質は担保しなければなりません。そこで欧州の技術を日本に持ち込んで、日本市場の健全な発展に貢献したいと考えたのです」。
 社名の『ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション』には土肥氏の理念が織り込まれている。土肥氏は扱う商材のひとつとして、まず品質に定評のあった独太陽電池大手ソーラーワールドのモジュールを選んだ。
 当時、日本ではソーラーワールドの知名度は高くなかったが、土肥氏には「ソーラーワールドの品質は世界一」という確証があった。需要拡大の追い風に乗って同社のモジュールを販売していったのである。
 13年の秋口には、ソーラーワールドがバックシートの代わりにガラスを使用して耐久性を高めた『サンモジュール・プロテクト』を発売した。30年間の出力保証という異例の補償サービスが話題に上がり、ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションは受注を伸ばす。
 やがて同社は、様々な関連製品を扱うようになった。モジュールが、出力50kW未満の低圧発電所からメガソーラーまで広く採用されていたため、顧客から関連製品のオーダーを受けるようになったのがきっかだ。
 現在、PCSは、田淵電機や独SMA、山洋電気などの製品を取り揃え、小型機から大型機まで品数は豊富だ。架台は富士スレートと日栄インテックから、接続箱を河村電器産業から、ケーブルは行田電線から仕入れ、日立産機システム製のキュービクルとタイゴエナジー製のオプティマイザも扱っている。
 その過程で物流体制の構築を進めた。苫小牧、秋田、東京、横浜、名古屋、福井、神戸、松山、博多と計9ヵ所に拠点を構え、迅速に商材を配送できる体制を整えた。東京、福井、神戸、博多には在庫を確保して納期短縮に努めており、「50kW未満であれば1週間、大型案件でも平均2.5ヵ月で納品できる」(土肥氏)。
 さらに土肥氏は、「我々がよい製品を提供することはもちろんだが、その先の発電事業者さんの利益を考えると、施工品質を高める必要があった」とし、技術力のある施工業者と関係を深め、施工品質の向上を図った。
 その延長線上にO&M(オペレーション&メンテナンス)があったのだろう。ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションは昨年、独O&M会社グリーンテックと提携し、欧州型のO&Mを実施する準備を進めている。施工業者と協力して、今年4月から本格化する構えだ。
 「ドイツの先進的なO&Mサービスです。自社の発電所に導入しながら検証を重ねてきました。お客様の利益向上を目的にとした総合的な運用サービスですから、自信をもってご提案していきます」。
 モジュール販売から関連製品を扱う太陽光商社へ、さらにO&Mを手掛け、今後は何を始めるか。変化を厭わない同社だが、「顧客第一主義を掲げ、日本PV市場の発展に寄与する」との理念にブレはない。今後の成長に期待したい。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
TEL(045)228-9065
FAX(045)228-8713
http://www.e-solar.co.jp