[特別対談第18回]多様化する顧客ニーズ イソフォトンジャパン イソフォトンジャパンハビエル・メストレス社長×ESI土肥宏吉社長

2017.11.01

PVeyePR

 ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長によるキーパーソンとの特別対談。今回はスペイン生まれの太陽光企業イソフォトン日本法人のハビエル・メストレス社長をお迎えして、多様化する顧客ニーズについて意見交換した。

土肥氏●高効率化や価格低減、長期信頼性の向上といった顧客の要望に応えるために、メーカーの方々が努力してこられた結果、太陽光発電の導入量が劇的に急増しました。ただ、市場が拡大し、成長すると、また新しいニーズが生まれるものです。実際、太陽光発電を電力インフラの一端を担う電源へと成長させていこうという段階に入ると、太陽光パネルも、発電性能や価格、品質といった従来の価値に加え、新しい付加価値が求められるようになりました。
 そこで今回は、様々な要望をいち早く製品に反映されていらっしゃる貴社に、多様化する顧客ニーズというテーマで意見をいただければと思います。ではまず、貴社の歴史を簡単にお話しください。

メストレス氏●イソフォトンは、太陽光企業のなかではパイオニア的存在です。設立は1981年ですから、いまから36年も前のことです。当時の市場規模は小さく、太陽電池自体それほど知られていませんでした。
 当社は、スペイン・マラガ大学の研究者によって設立された経緯もあって、かねてより技術開発を軸に事業を進めてきました。現在、中国のフルオートメーションラインで単結晶型、多結晶型ともにセルからパネルまで生産しており、セルの年産能力は500MW、パネルは1GWに達していますが、これにとどまりません。太陽エネルギーに関する新技術に力を入れ、例えば、追尾式架台や集光型システム、太陽熱パネルも開発してきました。
 その一方で、当社は太陽光発電所開発の海外展開を進めてきました。これまでに60ヵ国で案件を立ち上げ、その数300を超えています。

土肥氏●太陽光業界では、36年もの歴史あるメーカーは稀有な存在です。その間に培われた技術や知見、経験など、他社にない強みをお持ちなのでしょう。特に、欧州の市場が縮小し、多くの欧州企業が撤退・廃業を余儀なくされるなか、いまなお貴社が健在でいらっしゃるのは、柔軟な経営戦略をお持ちで、海外で太陽光発電所を開発し、そこにパネルを販売していく体制を早くから築かれたからでしょう。ところで、日本に進出されたのはいつですか。日本での取り組みや実績なども教えてください。

メストレス氏●2012年に日本法人のイソフォトンジャパンを設立しました。東日本大震災が起こる前まで、日本の市場はそれほど大きなものではなかったのですが、成長する可能性を秘めており、準備していたのです。そして12年7月にFITが始動し、太陽光発電の導入が加速すると、我々もメガソーラーの案件開発とパネル販売を本格化しました。
 競合他社にはない強みは、案件開発における知見や経験がひとつ。さらには、高変換効率、ハイパフォーマンスに加え、マイクロストラクチャーガラスを用いた当社独自のパネル技術です。これは、パネルのガラス自体に反射を防ぐ構造を施したもので、防眩性の高いパネルです。近隣住民に配慮しなければならない発電所オーナーから重宝されています。

土肥氏●当社も、貴社の防眩パネルを扱っていますが、これは画期的な製品ですね。パネルに求められる発電性能やパフォーマンスが高い点も魅力ですが、いま日本で起こっている重大な問題に対する解決策のひとつになり得る点において、意義深い製品だと思います。
 というのも、先日あるセミナーに参加し、太陽光発電のネガティブなニュースで、最も多いのは近隣住民からの苦情だという話を聞きました。さらに苦情の内容を4つ挙げており、PCS(パワーコンディショナ)のノイズ、騒音、土壌侵食、パネルの反射による照り返しでした。
 この話が意味するところは、我々が太陽光発電所を建設し、20年間管理して収益性を追求するのであれば、我々は近隣住民との20年の関係を重視しなければならず、これもいわばニーズのひとつではないかということです。つまり、メーカーが設備を提供し、EPC(設計・調達・建設)業者が太陽光発電所という商品を提供するのであれば、近隣住民との調和という点も顧客ニーズのひとつとして汲み取り、商品化していくべきではないかと考えます。

メストレス氏●おっしゃる通りです。メーカーは、発電性能やコスト、品質に加え、環境やコミュニティ、周辺住民に配慮し、調和していくという点も製品開発のテーマに取り入れていく必要があります。我々は、早くからこの点を重視し、製品開発に織り込んできました。それが日本で受け入れられた所以だと思います。
 いま、金属屋根にマグネット式で簡単に取りつけられる架台や、ガラスではなく樹脂を用いたフレキシブルタイプのパネルなど、新しい製品も取り揃えています。これらは、あらゆる屋根に乗せたいというニーズを汲み取った製品です。

土肥氏●コスト競争が激化するなか、太陽光発電の関連設備は一層コモディティ化が進むとの見方もありますが、その一方で、顧客のニーズが多様化していく現実もあります。私はコモディティのなかにも、細かいニーズを反映した製品には一定の存在感を放つ強さがあると考えます。本日はありがとうございました。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
〒100-6512東京都千代田区丸の内1-5-1新丸の内ビル12階
TEL:03-6757-9065
FAX:03-6757-9066
http://www.e-solar.co.jp

2022.07.27

PVeye

ヤマガタデザイン、山形県内でPPA展開 教育分野に資金還元

街づくり会社のヤマガタデザイン(山形県鶴岡市、山中大介社長)は2022年7月、太陽光発電のEPC企業、FD(愛知県刈谷市、鈴木政司社長)と、冠婚葬祭業のジョインの施設に太陽光発電設備を設置した。第1号続きを読む

2022.04.08

PVeye

伊藤忠商事、米国に再エネ開発会社設立

 伊藤忠商事は2022年3月24日、米国で再生可能エネルギー発電所開発会社を設立したと発表した。再エネ発電所の開発に特化する事業会社を立ち上げ、効率的な開発と収益の拡大を狙う。主に太陽光発電所を開発し続きを読む

2022.04.07

PVeye

北海道電力、太陽光ゼロ円設置開始 新築住宅向け

 北海道電力は2022年3月1日、新築住宅の所有者が住宅用太陽光発電設備を初期の負担なく設置できるサービスを開始した。顧客とリース契約を結び、毎月定額の料金を徴収する。
 同社は、今回の続きを読む

2022.03.08

PVeye

セイコーエプソン、富士見事業所に太陽光導入 SMFLみらいとPPA

 プリンター製造のセイコーエプソン(小川恭範社長)は2022年2月15日、長野県富士見町内の事業所に太陽光発電設備を導入した。三井住友ファイナンス&リース子会社のSMFLみらいパートナーズとPPA(電続きを読む

2022.03.07

PVeye

キユーピー、FIT太陽光を実質再エネに 神戸工場にはPPA導入

 食品大手のキユーピー(長南収社長)は2022年2月20日、既設の太陽光発電設備を活用して渋谷本社と研究施設で使用する電力を実質再生可能エネルギー電力に切り替えた。神戸工場にはPPA(電力売買契約)で続きを読む

2022.03.02

PVeye

横浜環境デザイン、PPAで太陽光導入

 太陽光発電設備の販売・施工やO&M(管理・保守)を手掛ける横浜環境デザイン(横浜市、池田真樹社長)は2022年2月7日、マテックス(東京都豊島区、松本浩志社長)の横浜事業所に太陽光発電設備と蓄電設備続きを読む

2022.03.01

PVeye

エムケイジャパン、可搬型蓄電設備発売 蓄電容量2kWh

 中・イーノウの国内総代理店であるエムケイジャパン(東京都荒川区、林軍社長)は2022年2月2日、電子商取引サイトでイーノウ製の可搬型蓄電設備を発売した。従来品より価格を抑え、民生用の非常用電源として続きを読む

2022.02.28

PVeye

シン・エナジー、リコー子会社にPPAで太陽光カーポート導入

 新電力会社のシン・エナジー(兵庫県神戸市、乾正博社長)は2022年2月16日、リコー(山下良則社長)の100%子会社、リコーインダストリー(神奈川県厚木市、戸倉正社長)に太陽光パネルを搭載したカーポ続きを読む

2022.02.17

PVeye

グッドオンルーフス、アフリカに太陽光無償提供 国連開発計画と提携

 アフリカで電化事業を手掛ける一般社団法人グッドオンルーフス(東京都千代田区、草賀純男代表理事)は2022年1月21日、国連開発計画のブルキナファソ事務所(マチュー・シオヴェラ代表)と契約を結び、太陽続きを読む

2022.02.12

PVeye

西海市、日産自らと脱炭素化で協定締結

長崎県西海市は2022年1月28日、日産自動車(内田誠社長)ら9社と市内の脱炭素化に向け、連携協定を締結した。電気自動車や再生可能エネルギーを普及させ、脱炭素化を進めつつ、災害に強い町づくりを目指す。続きを読む