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[特別対談第23回]進化する蓄電技術 CONNEXXSYSTEMS塚本壽社長×ESI土肥宏吉社長

2018.04.01

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ヨーロッパ・ソーラー・イノベーションの土肥宏吉社長による特別対談。今回のお相手は、新種のバインド電池(BINDBattery™)を製品化して注目を集めるコネックス・システムズの塚本壽社長だ。進化する蓄電技術というテーマで会談した。

土肥氏●再生可能エネルギー業界では、蓄電池が非常に注目されています。蓄電技術によって再エネは完成された基幹電力になり得るからです。多くの企業が様々な蓄電池を製品化していますが、なかでも貴社の取り組みは非常に先進的です。そこで今回は、蓄電池の技術動向について、お話しいただければと思います。

塚本氏●私は大学を卒業後、GS日本電池に入社し、20年近く新型電池の開発に従事しました。世界最薄のボタン電池を開発したり、ウォークマン用に充放電可能な電池を製品化したり、非常にやりがいのある仕事を経験させていただきました。
 ただ、40代の半ばで、米国の会社からインプラント用の、人体に埋め込む医療用電池の開発依頼があった時です。GS日本電池としてはお受けできなかったのですが、病で苦しむ患者を救うためには誰かがこの事業に取り組まなければとの思いが日増しに強くなり、米国行きを決意しました。
 GS日本電池には、後ろ髪を引かれる思いもありましたが、半年の準備期間を経て、米国でクオリオンという会社を立ち上げ、インプラント用の電池を開発しました。米国では軍事用の蓄電池開発にも携わるなど、多くの経験を積み、充実した日々を過ごしていたのですが、2011年3月11日に発生した東日本大震災の惨事、計り知れないダメージを受けた日本の姿を異国で傍観していることができず、帰国してコネックス・システムズを設立しました。

土肥氏●米国に渡り、最先端の蓄電池開発をされてきたのですね。ところで、貴社は、リチウムイオン蓄電池と鉛蓄電池を組み合わせるバインド電池という新しい蓄電池を開発されましたが、この発想はどこから生まれたのでしょうか。

塚本氏●軍用輸送機の非常用電源として搭載されていた鉛蓄電池をリチウムイオン蓄電池に置き換えるプロジェクトに携わったのがきっかけです。開発を進めるうちに、鉛電池がバスラインに流れ込む過剰電流を吸収して電圧安定に寄与している効果が非常に大きいことに気づきました。これはリチウムイオン蓄電池にはない機能なので、軽くて高性能なリチウムイオン蓄電池の特長を生かしつつ、鉛蓄電池の機能も活用できないかと考え、思いついたのがバインド電池でした。

土肥氏●リチウムイオン蓄電池と鉛蓄電池には、それぞれ強みと弱みがあるため、2つを併用することで弱点を打ち消そうという発想には将来性を感じます。既存の技術を組み合わせて新しい価値を創造するのは、日本人の得意領域ですから、貴社の技術が日本で熟成され、やがて世界をリードする革新技術へと発展すれば、この上ないです。
 ただ、蓄電池には課題がいくつかあります。主にリチウムイオン蓄電池に対するものですが、まず、蓄電池ブームに火がつくと、安価で粗悪な製品も世に出るでしょうから、安全性が気になるところです。

塚本氏●当社のバインド電池は、過充電に対する安全性が最大の特長です。リチウムイオン蓄電池は、高性能だが、しっかり管理しないと暴走する恐れがあります。そのため電気回路で管理するのですが、その回路が正常に働かずに事故が起こる可能性を想定して、もうひとつ回路を設ける。2つでも不充分ならば、3つという形で増やし、現在の保護回路のようなものが搭載されるようになりました。バインド電池も保護回路を備えていますが、そこにさらに、過充電を吸収する化学的なプロテクションが追加されたわけです。

土肥氏●蓄電池のもうひとつの課題は、価格が高いことです。電気自動車に搭載されている車載用蓄電池と比べると、住宅用や産業用の蓄電池は値段が高額です。ならば、鉛蓄電池を使う方がよいのではないかという考えもありますが、いかがでしょうか。

塚本氏●確かに鉛蓄電池は安いのですが、リチウムイオン蓄電池が5000回以上充放電を繰り返すことができるのに対し、鉛蓄電池の充放電回数は1000回程度です。生涯に充放電できる電力量で比較すると、リチウムイオン蓄電池の方が費用対効果は高いのです。
 そこで当社のバインド電池は、リチウムオン蓄電池を主とし、鉛蓄電池は最低限の搭載に止めると共に、リチウムイオン蓄電池から使用し、最後に鉛蓄電池を使う設計にしています。フルに使用するのは、大停電の時だけなので、10年間で10回もないでしょう。日常的にはリチウムイオン蓄電池を使うという仕様です。
 結局リチウムイオン蓄電池の方がよいのですが、過充電で火を噴く恐れがあるほか、低温時に石のようになってしまう。これらは改善の余地がないので、リチウムイオン蓄電池と鉛蓄電池をケミカルな系として一体化することで、本質的に過充電リスクを解消し、マイナス30℃でも機能する低温特性を持たせたわけです。

土肥氏●蓄電池の価格は、EV(電気自動車)が普及すると、劇的に下がるかもしれません。

塚本氏●私は以前EVには懐疑的でしたが、フェラーリの電池をつくる機会があって、7年前にイタリアでEVF1の車体メーカーを訪問した時に考えを改めました。シミュレータ上のコースでF1とEVF1を競わせるのですが、馬力では80%程度のEVF1がエンジンF1に勝ってしまう。それを見た時EVは普及すると確信しました。EV市場は拡大し、2年も経てば安価な蓄電池が大量に出てきます。価格はこなれてくると同時にばらつきも出てくるでしょう。バインド電池は、様々なメーカーの蓄電池が使用できるので、これからが本領発揮です。

土肥氏●EV時代の到来とともに、蓄電池の価格は劇的に下がり、さらに貴社のバインド電池が本格利用されるようになるというのは、非常に楽しみですが、その一方で、私は貴社の完全独立電源は海外でもニーズがあると思います。特にアフリカは、送電網が未発達なので、固定電話の普及を通り越して携帯電話が普及したように、電力事情も送電インフラの整備を待たずに、各地域でマイクログリッドが拡がりつつあるのです。独立電源のニーズは拡大しており今後が楽しみです。

ヨーロッパ・ソーラー・イノベーション株式会社
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