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北海道大停電で見えた太陽光発電の意義と課題

2018.10.01

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 北海道胆振地方を襲った大地震で全道が停電に陥る〝ブラックアウト〟が発生した。北の大地が闇に沈むなか、太陽光発電の意義と課題が示された。(PVeye記者・飯渕一樹)

 9月6日未明に起こった北海道胆振東部地震で、北海道全域、295万戸の停電という前代未聞の事態に陥った。地震発生から24時間を経た7日午前4時でも180万戸以上で停電が続き、道内の小売店は物流網の寸断で品薄に陥ったにも関わらず、水や食料品を求めて道民が殺到した。
 札幌市清田区内で理髪店を営む橋本圭弘さん(43)は、「スーパーで食料を買うためには4時間くらい並ばなければならなかった」と当時の状況を語る。
 大停電の引き金は、厚真町南部にある『苫東厚真火力発電所』の被災だ。最大出力165万kW、道内のピーク需要380万kWの半分近くを賄っていた道内最大の火力発電所が緊急停止に追いやられた。これによって、電力系統の需給均衡が乱れ、周波数が変動し、他の発電所が故障する危険性があったため、北海道電力は道内の全発電所を停止せざるを得なかった。
 被災直後、北電は、同発電所の復旧に1週間以上かかるとの見通しを示したが、11日の世耕弘成経済産業大臣の発表では、3基ある炉を順次再稼働していくものの、全面復旧は11月以降になると明らかになった。ボイラー管が損傷し、タービンが出火したほか、敷地内で液状化も起きているという。
 北電は現在、供給電力を346万kWまで戻し、道民に節電を呼びかけるなどして計画停電は避けているが、老朽化した発電所も動員して供給を維持している状況。当面需給の綱引きが続く。
 大規模集中型の電力供給システムが脆弱であることは、福島第一原子力発電所事故で露見した。それゆえ、政府は従来の電力供給システムを改め、電力システム改革を推進、2020年には発送電分離を控えている。
 だが、再び大規模集中型の脆弱性が大停電を引き起こし、電力供給システムの弱点が浮き彫りになった。送電インフラで需要家に電気を供給する仕組み自体に変革が必要なのではないか。

自立運転で炊飯

 ともあれ、街が大停電に見舞われるなかで住宅用太陽光発電が活躍した。
 前出の橋本さんは、自宅兼理髪店の屋根上に出力4kWの太陽光発電設備を設置しており、地震発生の当日6時半には自立運転機能に切り替え、炊飯器で米を炊いたという。橋本さんは、「正直自立運転のやり方が分からなかったので、(札幌の販売・施工会社の)サンエコさんに早朝電話して教えてもらった。炊飯器が使えたほか、携帯電話の充電もできた。太陽光をつけて本当に助かった」と話す。
 江別市内に住む河野行則さん(50)は、8年前に出力3kWの太陽光発電設備を自宅に導入、冬場の降雪を考慮して南西向きの壁面にパネルを設置した。河野さんは、設備関係に詳しく、「朝8時には自立運転に切り替えた。1500Wしか使えないのでどこまで家電を使えるか不安もあったが、省エネ家電だったこともあって、テレビや通信機器、炊飯器、冷蔵庫も使えた」と話す。
 北海道では、住宅への太陽光発電設備の普及率が5%にも満たないようだが、今回の大停電を機に太陽光発電設備の自立運転機能が役立った事例が広まれば、普及が加速するかもしれない。さらに、工場などの産業用施設でも、リスク管理の一環で自家消費用の太陽光発電設備を導入する例が増える可能性もある。
 サンエコの田口登社長は、「今回、太陽光は災害時に役に立つもの、安心に繋がるものという評価の声を多くいただいた。これを機に、節電効果や投資メリットよりも、自給自足の利点を訴求していく」と方針を語る。

メガソーラーを非常時に役立てよ

 ただ、太陽光発電の課題も、停電を通じて見えた。系統に連系している場合、たとえ発電設備が無事でも、肝心な時に電力を利用できないことだ。
 そもそも太陽光発電所は地震に強く、敷地が土砂崩れに見舞われる事態ならばともかく、揺れだけで設備が損壊することは稀だ。実際、苫東厚真発電所の惨状に反し、隣接する安平町にあるパネル出力111MWの『ソフトバンク苫東安平ソーラーパーク』は無事だった。現場管理を行う東芝エネルギーシステムズエネルギーアグリゲーション統括部再生可能エネルギー技術部の堀切毅現場代理人は、「地面に多少の亀裂はあったが、設備は全く問題な稼働している」と胸を張る。
 しかも、同発電所は北海道最大の太陽光発電所だが、それでも出力は苫東厚真発電所の10分の1にも満たない。太陽光発電所は小規模分散型電源であり、地域内に点在しているため、仮に一部が停止しても、一定の供給力は維持できる。
 だが、現在の電力供給システムの下では、周囲の系統が停電すると、太陽光発電所も送電を止めなければならない。事実、安平市に13.5MWの太陽光発電所を持つパスポートの担当者は、「停止した苫東厚真発電所が系統の周波数調整を担っていたため、調整力が確保されるまで、道内のメガソーラーは送電できなかった。設備は問題なかったが、送電再開が14日午後まで遅れた」と嘆息する。
 望まれるのは、既存の電力供給システムに拠らない太陽光発電の利用法だ。通常は電力会社への売電を行うにせよ、非常時に無駄となる電力を近隣へ供給できれば、大規模発電所からの送電が止まっても、周辺は日常に近い生活を送ることができるだろう。延いては、平常時から周辺地域に電力を供給する地産地消の仕組みを構築する足掛かりになるのではないか。
 これは、昨今各地で起こる太陽光発電所建設への反対運動にも、ひとつの妥協点を示すはずだ。FIT売電だけを前提とした発電事業は周辺の地域に利益を生み出さないが、太陽光発電所が非常時の地域の電源として役立つならばどうか。失われつつある太陽光発電の社会的受容を取り戻す契機となり得るに違いない。
 発送電の仕組みを変革することは容易ではないが、今こそ真の電力システム改革を目指し、官民を挙げて取り組むべき時である。

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2019.04.01

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