千葉大停電で太陽光が活躍 低圧発電所が非常電源に

2019.09.30

PVeye

 千葉の大停電で電力系統の脆弱性が改めて露呈したが、太陽光発電や蓄電池が活躍。事業用の低圧太陽光発電所も非常用電源として機能した事例もあった。(PVeye記者・岡田浩一)

 山倉ダムの水上メガソーラーが燃えたという一報があり、千葉県市原市へ向かったのは9月9日の15時頃だ。川崎から高速道路の東京湾アクアラインに乗ったが、通行止めに遭い、着いたのは19時過ぎ、辺りは真っ暗だった。そう、この日から千葉県内は大停電が続く。しかしこのときは誰もこれほど停電が長期化するとは予想もしなかっただろう。
 東京電力パワーグリッドは翌10日に「停電は11日中に全面復旧する」と発表したが、11日には「13日以降」と修正し、13日には「2週間以内」と再び修正した。同社は被害の実態を正確に把握できていないまま過小評価していたことを認めたが、背景には、自ら築き上げた電力インフラに対する過信があったのではないか。
 いずれにせよ、いつ開通するか分からないまま、長引く停電のもとで生活を強いられる市民の心理的疲労感は相当なものだろう。18日午後9時現在も千葉県内では3万7600戸が停電している。早期の復旧に向け全力を注いでほしい。
 その一方で、14日に再び千葉を訪れた際は、太陽光発電設備が非常用電源として活躍していた。
 千葉県富津市在住の作本徳行さん(70)は、3年前に自宅の敷地内にパネル出力58.32kWの低圧太陽光発電所を事業用として導入したが、その発電所の電力を停電時に活用した。施工を担当した神奈川県の販売・施工会社、サンエーが、自立運転機能つきのPCS(パワーコンディショナ)にコンセントソケットを据えつけ、非常時に使用できるよう設計を施していたのだ。
 作本さんは、「太陽光発電所から家まで60mのケーブルを這わせ、洗濯機と冷蔵庫をつないだ。炊飯器は発電所のコンセントに直接つないで米を炊いた。晴れが続いたので、問題なく電力を使用でき、とても助かった」と表情が明るい。
 蓄電設備も機能した。千葉県君津市の朝生裕之さん(61)宅では蓄電容量7.2kWhの蓄電設備を非常用電源として活用したという。朝生さんは、「私は出張で外出していたので、出張先から妻に連絡して蓄電設備に冷蔵庫をつなぐよう指示した。妻はポットや炊飯器も使ったようだが、丸2日間、通常通り電気が使えた」と説明する。ただ、朝生さんは太陽光発電設備も所有していたが、自立運転モードへの切り替え方を把握しておらず、蓄電設備しか使用していない。

低圧太陽光発電所を
近隣住民に開放

 一方、低圧太陽光発電所を近隣住民に開放した事例もあった。前出のサンエーは、富津市内に保有するパネル出力43.7kWの太陽光発電所を自立運転モードに切り替え、近隣の住民に電力を提供したのだ。
 サンエー千葉支店の片野隆太支店長代理は、「この太陽光発電所は3.11の震災を踏まえて建てたので、設計段階で非常時に電力を供給できるよう自立運転機能つきのPCSを採用し、コンセントも用意した」とし、「太陽光発電所の前に電気を自由に使ってくださいとのぼり旗を立て、SNSで拡散して呼びかけたので、多くの方々に利用してもらった」と状況を語る。
 実際、サンエーの低圧太陽光発電所と隣接する医療法人さくらクリニックのスタッフも携帯電話の充電用途で太陽光発電所を活用したようで、さくらクリニックの石代誠理事長は、「この辺りは丸5日停電が続き、大変だったが、太陽光発電所のおかげで電気が使えた。とても感謝している。今後は病院にも非常用電源を導入しようと思う」と語る。
 サンエーは、千葉県君津市内に持つ出力6kWの太陽光発電設備を設置したモデルルームでも電力を提供し、300組以上の利用者が訪れたという。こうした取り組みが全国に広がれば、太陽光発電への批判も和らぎ、地域電源として住民から真に受け入れられる日が来るかもしれない。

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