〝太陽電池メーカー〟から〝エネルギーソリューションカンパニー〟へ シャープが描く国内販売戦略

2014.01.06

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 シャープが太陽電池事業で業績を伸ばしている。国内向けの販売が好調で、上期の売上高は1682億円と前年同期比80.8%の大増収で推移した。FIT(全量買取り制度)の始動による内需拡大が主たる要因であるが、長らく太陽電池のトップメーカーとしてモジュールを販売してきた実績が、強いブランド力と商品訴求力を生み出しているに違いない。では2014年以降、同社はどう動くのだろうか。国内販売を担う子会社シャープエネルギーソリューションの狙いを探った。

 「いま太陽光発電の国内需要は急増しています。12年度は3.8GWで住宅用太陽光発電と非住宅用太陽光発電がほぼ半々だったのに対し、13年度は非住宅用の伸びが顕著で、トータルで7GWに達するでしょう。しかしこの状況はいつまで続くのだろうか。住宅用は早くも今年度末から来年度の初めにかけて動きがあるでしょう」。
 シャープエネルギーソリューションの宮永良一社長が示唆したのは、住宅用太陽光発電市場の一時的な縮小である。
 14年4月から消費税が5%から8%にアップし、同時期に住宅用太陽光発電の補助金が終了する。さらに余剰電力の買取り価格が減額されることになれば、国内の住宅用太陽光発電の需要は、14年3月末以降、冷え込む可能性があるからだ。
 迫り来るリスクにどう備えるべきか。それが目下の課題と思われるが、これについて宮永社長は簡潔に語った。
 「商品力を高めて顧客サービスを充実させていくしかないと思っています。お客様の細かいニーズを汲み取って、それを一つひとつ商品やサービスに反映していく。それによって市場の変動に左右されない確固たる販売力を築くこと。それが基本です」。

純国産の高効率モジュール 『ブラックソーラー』の魅力

 同社が一般住宅向けに販売を伸ばしている主力製品が、『ブラックソーラー』と呼ばれる高効率モジュールだ。日本の狭い住宅屋根でも高い発電量が得られる。とくに同モジュールは堺工場で開発・生産されており、日々変換効率向上に取り組んでいる。〝純国産品〟で、納期が短くユーザーに安心感を与える点も選ばれている理由のひとつだろう。
 『ブラックソーラー』の特長を挙げていくと、ユーザーのニーズを商品に反映させるという〝顧客目線〟の設計思想が垣間見られるが、それは長期信頼性と向き合う同社の厳しい品質管理体制からもうかがえる。
 同社のモジュール製造における最大の特長は、長期の使用にも耐え得る設計を施している点である。製品の設計寿命は30年以上で、それを担保するために、国際標準のIEC規格で定められた基準を大きく上回る試験を実施するなど、厳しい品質管理体制を敷いている。この同社の独自の評価試験は長期信頼性を担保するに相応しい内容であるとして、ドイツの第三者検査機関VDEに評価されている。

〝新工法〟で施工時間半減!

 同社は、モジュールと並行して、PCS(パワーコンディショナ)や架台なども合わせたシステム全体の商品力の向上にも力を入れている。とくに施工性を高めるための開発には余念がない。
 現在約60万通りの施工レイアウトのデータを保有し、新規案件にも迅速に対応できる体制を築いているが、さらにこのほど新工法を開発した。
 従来比で部品点数を約30%、施工工数を約40%削減し、それまで2日かかっていた施工を1日に短縮した。施工性を高め、同時に施工品質を向上させる一挙両得の画期的な工法である。

シャープだからできるシステムまるごと保証

 そのほかにも、顧客サービスの拡充を目的に、シャープがユーザーに代わって日々の発電を見守り、万一問題が起こった場合はすぐに対応するというウェブモニタリングサービスを提供している。
 また、保証サービスも充実させている。従来、太陽光発電業界では10年保証が一般的であったが、シャープは他社に先駆けて15年保証に踏み切った。
 これについて、宮永社長は「当社はモジュールやPCSだけでなく、架台やモニター、ケーブルに至るまで、システム全体でまるごと15年保証します。この保証は30年間の設置実績で大きな瑕疵がないことを保険会社が認めてくれたからできるのであって、シャープだけのオリジナル保証なのです。50年の歴史を持つリーディングメーカーとして、今後も販売店様と一緒になってお客様を守っていく義務があります」と強調した。

自家消費の時代到来にソリューション事業

 同社は、先を見据えた商品開発にも力を入れている。宮永社長は、エネルギー利用の今後についてこう予測した。
 「家庭用の電力料金は上がっていく一方で、買取り価格は下がっていきます。売電するメリットがなくなれば、今後はいかに上手に自家消費するかがポイントになるでしょう。つまり、太陽光発電で電気を作り、蓄電池に蓄え、HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)と省エネ家電で賢く消費するようになるはずです」。
 そこで同社は『マルチエネルギーモニタ』を発売し、各機器のモニターをひとつにまとめ、太陽光発電システムと蓄電池、エコキュートを制御できるようにした。今後は、ゼロエミッションハウス、スマートハウス向けの新商品を開発していく構えである。
 宮永社長は、「当社は、メーカーという立場で商品を供給するだけではなく、お客様の目線に立ってソリューションを提供していきます。つまり、EPC(設計・調達・建設)やO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)、保証サービスも含めてトータルのエネルギーソリューションを実施していく。それが今後の事業モデルです。今年4月から社名を『シャープエネルギーソリューション』としたのもこのような経緯があったのです」と語った。
 〝太陽電池メーカー〟から、〝エネルギーソリューションカンパニー〟へ。進化するシャープから目が離せなくなってきた。

シャープエネルギーソリューション株式会社
大阪市平野区加美南4丁目3番41号
Tel:06-6792-5801 Fax:06-6796-1397
URL:http://www.sharp-sesj.co.jp/

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