PVeyeとは
編集理念
人類の生活を支え、経済の基盤を成すエネルギー。その歴史は50万年前の火の利用に始まったという。以来、持続可能なエネルギー利用の実現は人類の悲願であり続けたが、人類は時に許されぬ大過を犯してきた。
19世紀の産業革命以後、エネルギーの高度利用と大量消費は欧米諸国に繁栄を齎したが、それらは非工業国の資源を貪る収奪と殺戮のうえにあった。日本も石油の権益獲得を巡って太平洋戦争に突入し、300万人に及ぶ尊い国民の命が失われる。まこと近代における国家間の摩擦や騒乱は、化石燃料資源の占有に起因していると言っても過言ではなかろう。
大戦を経て、日本は原子力技術の開発に動く。エネルギー安全保障の重要性や、温室効果ガスの排出による環境影響が叫ばれ、原子力政策の有効性は声高に喧伝されていったが、3・11が起こった。福島第一原発事故の損害額は22兆円と試算されているから、22兆円分の人々の富が水泡に帰したわけだ。
なぜ人類は、道理に反してもなおエネルギー資源の獲得に固執するのか。巧妙に富を占有する資本の論理に牛耳られているからであろうか。だが、そろそろ資本主義経済の弊を克服しなければなるまい。
希望はある。再生可能エネルギーの普及に端を発して、大規模集中型から小規模分散型へ、占有から分有へ、搾取から共生へと向かい始めた。人々の価値観が変わりつつある今こそ、悲願であった持続可能なエネルギー利用の実現へ、一歩を踏み出せるかもしれない。
エネルギーに纏わる諸問題の解決に向け、道標を示すのは困難だ。人はいかに生きるべきか、その指針を立てるのと同種の難題である。PVeyeはただ、読者が自ら新しいエネルギー観を育てられるよう、情報を発信するに過ぎない。それがどれだけの人々に役立つのか、心許ないが、実践すべきは、取材対象の底に潜む真の姿を掘り当てる探求と、購読対象への飽くなき想像だ。対象と融合しかねない所まで近づきつつ確たる客観に身置く往来の継続によって培っていきたい。
花を力で咲かすことはできない。春の微風で蕾は開く。PVeyeは、対象に寄り添い、対象と悩み、対象とともに夢を見る。語られるすべての言葉に耳を傾け、声なき声を届けていく。
PVeye発行人・編集長 川副暁優
発行日 | 毎月25日 |
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創刊日 | 2012年3月23日 |
発行元 | ヴィズオンプレス株式会社 |
発行人・編集長 | 川副暁優(Kawazoe, Akimasa) |
副編集長 | 楓崇志(Kaede, Takashi) |
記者 | 岡田浩一(Okada, Hirokazu) 中馬成美(Chuman, Narumi) 土屋賢太(Tsuchiya,Kenta) |
デザイン | パインデザイン合同会社 |
サイズ | A4変型60頁 |
価格 | 1,800円(税別)/1,980円(税込)※ |
定期購読料 | 18,000円(税別)/19,800円(税込) |
※バックナンバーPVeye2014年4月号(2014年3月25日号)~2019年10月号(2019年9月25日号)の価格は1,796円(税別)/1,976円(税込)となっております。