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北九州パワー 再エネ由来水素製造設備の運用開始

実証は再エネ設備が集積する響灘地区で行われる

自治体新電力会社の北九州パワー(福岡県北九州市、千歳昭博社長)は2021年11月25日、再生可能エネルギー由来の水素製造施設の運用を開始した。太陽光発電などの余剰電力で製造した水素を1.2㎞の既存のパイプラインで供給し、住宅や公共施設の燃料電池に使う。一連の水素供給を検証し、事業化を目指す。

九州市若松区の北東部に位置する響灘地区の出力45‌kWの追尾式太陽光発電設備と出力9kWの風力発電設備に蓄電設備や水電解装置を自営線で繋ぎ、再エネの余剰電力で水素を製造する。同社の主要電源は北九州市が所有するごみ焼却工場の廃棄物発電によるもので、実証実験ではバイオマス発電で再エネ電源の出力変動を調整する制御技術も開発する。実験中は、同社が電力系統を介して電力を供給し、バイオマス発電の変動を模して検証する。

北九州パワー営業企画課の中村伸二氏は、「蓄電設備は急な出力変動による水電解装置への影響を緩和するもの。実証実験の要は、太陽光、風力、バイオマスの3種類の再エネ電源の制御技術を開発し、再エネ由来の水素を製造することだ」と説明する。

水電解装置の水素造能力は10N㎥/h。月に4回、1日4時間稼働させて毎月約150N㎥/hの水素を製造し、圧縮してカードルと呼ばれる輸送機器に充填し、パイプラインまで運ぶ。福岡市や久留米市の水素ステーションや物流施設にも運び、燃料電池車や燃料電池フォークリフトに使用する。

エコハウスの出力1kW、実証住宅の出力1kW2台、合計3台の燃料電池に水素を供給しており、今回の実証実験では新たに4.4‌kWの燃料電池を博物館に設置する予定だ。

実証実験には北九州パワーのほかにIHI、福岡酸素、エネオスらが参加する。環境省の委託事業で20年から3年間行う。

事業を統括する北九州パワー総務政策課の益本健課長は、「環境価値に重きを置いた新事業として〝水素〟が今後、商材に成り得るのか、検証していきたい」と語る。

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