フェンスの設置完了期限、1ヵ月後に迫る
昨年4月のFIT法改正により、出力20kWを超える太陽光発電所のオーナーは、フェンスの敷設義務を負うこととなった。みなし認定を受けた発電設備の場合、今年3月末までに設置を完了しなければならない。期限が迫っているのである。
従来出力50kW未満の太陽光発電設備にフェンスの敷設義務はなかった。だが、FIT法の改正でフェンスの敷設義務が出力20kW以上の太陽光発電設備にまで拡大した。
17年3月末時点における稼働済み低圧太陽光発電所は約45万件に達する。無論、そのすべてが出力20kW以上であるはずはないが、それでも半数以上は新たにフェンスの設置が必要だろう。
ただ、O&M(管理・保守)を手掛けるエナジービジョンの奥山恭之社長は、「期日までにフェンスの設置を終えようと考える事業者は少ない印象だ。設置しなかったとしても見つからないだろうと思っているのかもしれない」と話す。
しかし、フェンスの設置は事業計画の認定要件であり、仮に未設置が発覚し、経済産業省による助言、改善命令に従わない場合、「最終的には認定の取消しもあり得る」(経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課再生可能エネルギー推進室の山王静香室長補佐)。
何よりもフェンスは安全のために必須の設備だ。万が一漏電を起こしている設備に第3者が触れたら死亡事故につながりかねない。低圧太陽光発電所1基にフェンスを敷設すると、100万円近い出費になるが、未設置のオーナーは早めの対処が必要だ。
事業計画策定ガイドラインによれば、太陽光発電所のフェンスは、構内に容易に立ち入れない高さとし、発電設備との距離を十分に確保すること、また、ロープなどの簡易的なものではなく、金属製でなければならない。
電気設備の技術基準の解釈第38条には、電圧3万5000V以下の発電設備は、フェンスの高さとフェンスから発電設備までの距離の和を、5m確保するよう定めている。
なお、屋根上の発電設備や営農用太陽光発電所ほか、人が用意に近づけない場所に建つ設備の場合、フェンスを設置しなくてもよい。
一方、フェンスと同時に、出力20kW以上の太陽光発電設備では、発電設備の概要、オーナーの連絡先などについて記した標識も、3月末までに設置しなければならない。