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日立パワーソリューションズ、太陽光併設型風力発電システム開発

メガソーラー向け、7月提供開始

再エネの導入拡大のために既存の系統連系枠を有効活用する〝コネクト&マネージ〟が注目されるなか、太陽光や風力発電のEPC(設計・調達・建設)を手掛ける日立パワーソリューションズ(茨城県日立市、石井義人社長)は7月より太陽光発電併設型の風力発電システムの提供を開始した。新たな手法として採用が増えそうだ。

同社が開発した太陽光発電併設型の風力発電システムとは、稼働済みの太陽光発電設備が持つ系統連系枠内に風力発電設備を追加導入するというもの。同じ連系点に接続することになるが、追設する風力発電設備の出力が連系枠を超えないように制御することで、太陽光発電が利用していない空き容量を上手く活用する仕組みだ。

太陽光発電の接続契約は基本的に発電出力の最大値となるが、「(太陽光発電は)フル出力する時間が少なく、連系枠の利用率は決して高くない。それに太陽光は夏場に多く発電するが、風力は冬場に発電量を稼ぎやすいという違いもある。既存の連系枠をベースにして(風力発電設備を)上手く繋げるのではないかと考えた」(新エネルギー本部風力システム部の高橋雅也グループリーダー主任技師)。

FIT以後、太陽光発電の導入が急拡大したことにより、全国各地で連系枠の容量不足が発生。それに伴う工事費負担金の増大や工期の長期化が新規導入の妨げとなっているケースもあり、影響は太陽光発電だけでなく風力発電にも及ぶ。そこで注目を集めているのが、既存の連系枠を有効活用する〝コネクト&マネージ〟であり、日立パワーソリューションズの取組みはその一例と言える。

同システムでは、太陽光発電と風力発電の合成発電出力が既存の連系枠を超えないように制御するが、出力を抑制するのは風力発電設備のみ。高橋主任技師は、「既設の太陽光発電設備はプロジェクト・ファイナンスを組成していることも多く、事後的な出力制御の受け入れは難しい。このシステムのコンセプトは、あくまで既設の太陽光発電事業者に対して、同じ連系枠を風力発電設備にも使える可能性を示すことだ」と語る。このシステムを使えば、工事費負担金などのコストを低減した形で、風力発電設備を追設できる可能性があるのだ。

同社は実用化にあたり、今年2月に約1週間の実証試験を実施。太陽光発電の出力パターンに応じた風力発電の制御状況の確認などを経て、このほどシステムの提供を開始した。

既存の連系枠に追設するため、風力発電設備の発電出力は太陽光発電設備よりも小さくなる。高橋主任技師は、「パネル過積載や日射量も含めた太陽光発電設備の傾向、地域性、風力発電の制御量などを踏まえて、サイトごとにカスタマイズする必要がある」とし、「実証試験では太陽光10に対して風力を6に設定した。追設する風力の発電出力はだいたい太陽光の半分程度が目安だろう」と述べる。

同社は1998年より風力発電のEPC事業を開始。これまでに日本国内で蓄電池併設型を含めて300基以上、約507MWの設置実績を持つ。2MW級のほか、最小で900kW級の風力発電設備も揃える。今回開発した『太陽光発電協調型風力発電システム』に関する特許も登録済みだ。

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