パワーバンクシステム、フィリピンで洋上太陽光を実証
薄膜太陽電池モジュールメーカーのパワーバンクシステム(熊本県八代市、木下雅章社長)が2月、約4年に亘って実施してきた洋上太陽光発電の実証試験の結果を公表した。洋上で継続的に電力を供給できることが分かった。洋上太陽光の利用が進む可能性が出てきた。
実証試験は、太陽電池で発電した電力でマイクロバブル(MB)発生装置を動かし、それを養殖用の生簀へ注ぎ、魚の成長を促進させるというもの。1つの生け簀で飼う魚が多いほど高率よく養殖できるが、海中の酸素が欠乏すれば魚の発育に悪影響を及ぼす。MBには水中の酸素濃度を高める効果がある。
MB発生装置の利用に際し、課題となるのは電源の確保だ。太陽電池はその場で発電する電源だが、塩害に弱く、海上の仕様には向かないと考えられてきた。
しかしパワーバンクによると、「自社製の太陽電池はセルをプラスチックで封止し、金属部分の露出がないタイプ。防水機能を備え、フレームも不要で、パネルが錆びる心配はなく、海上で使用できる」という。
その性能を外務省に買われ、2012年度、フィリピンへのODA事業に採択され、今年3月まで実証試験を行うことになった。自社製80Wの太陽電池125枚、計10kWをMB発生装置やバッテリー、水中カメラなどと一緒にフィリピンの海域に設置した。同社によれば海上での発電、MB発生装置の動作は問題なく行えたという。
同社は10年から太陽電池の製造を開始した。外部から調達したセルを独自技術によりプラスチックで封止し、モジュール化して販売している。
モジュールの特徴は錆びにくいほか、軽量である点が挙げられるという。80Wで、195㎝×480㎝×4㎝のモジュールは重さが約4㎏だ。
セルはグローバルソーラーシステムのCIGSセルとエフウェイブ製のアモルファスシリコンセルを採用している。モジュール変換効率は、CIGSが12%、アモルファスが8%だ。
今後同社はフィリピンで培った技術を積極的に海外へ輸出していく方針だ。