エナリス、切替え式オフサイトPPA開始
バーチャルとフィジカルで選択可に
電力小売りなどを手掛けるKDDIグループのエナリス(東京都千代田区、都築実宏社長)は2025年1月23日、契約期間中に顧客がフィジカルPPAとバーチャルPPAを自由に切替えられるオフサイトPPAを開始すると発表した。長期のオフサイトPPAも柔軟に変更できるようにする。25年4月にサービスを始める予定だ。
同社は今回、再生可能エネルギーを調達する電力消費者がオフサイトPPAによる調達法を自由に選べ、契約途中でも切替えられるようにした。顧客は発電事業者及びエナリスと包括的な長期契約を結んだうえで、対象の発電所毎に、環境価値と再エネ電力を購入するフィジカルPPAか、環境価値のみを購入するバーチャルPPAかを選択できる。長期契約の途中で変更することも可能で、最短1年単位で切替えられる。それぞれのPPA単価は包括契約時に定めるほか、運用業務や切替え手続きはエナリスが行うため、発電事業者の追加負担はない。
同社事業企画本部事業企画部事業企画課の酒井達也課長は、「当社はアグリゲータであり、子会社を通じて電力を小売りしている。オフサイトPPAに必要な機能があるので今回のサービスを商品化した」と経緯を語る。
再エネ電力を調達する顧客は、長期契約の途中で再エネ電力の消費先や環境価値の割当てを柔軟に変更できる。エナリスによれば、包括的な長期契約を前提としたため、途中で切り替えても『RE100』の追加性に関する技術要件を満たせることも確認したという。
同社営業統括本部企画統括部営業企画部の中島智部長は、「フィジカルPPAの場合、特定の需要拠点と紐づくため、長期契約が履行不能に陥る可能性について懸念されがちだが、この新サービスであれば、途中でバーチャルPPAに切替えられるので、その懸念を払拭できる」とし、既存の電力供給契約の更新時期を迎えるまで暫定的にバーチャルPPAを選ぶといった使われ方もあるようだ。