[特別対談 第30回]
再エネビジネスの未来
日本再生可能エネルギー総合研究所 北村和也代表 ✕ ESI 土肥宏吉社長
土肥氏●ドイツで普及しているVPPには非常に興味があります。詳しく説明していただけますか。
北村氏●ドイツでは、再エネを多く使うことが経済合理的であるという合意のもと、再エネを使うための柔軟な系統運用に価値を見出し、VPPの市場が形成されました。これは成長分野なのでベンチャー企業が多数参入し、いまでは競争が激化しています。
VPPに参入した企業のビジネスは、調達先の発電所を保有する発電事業者に対して、電力を最も高くマーケットで売れるように制御すること。さらに、調整力そのものにも価値があるので、送配電業者に調整力を提供することです。VPPビジネスで収益性を高めるためには、調達可能な電源をより多く確保する必要があり、ドイツのVPPベンチャー各社はいま、3〜5GW規模の発電所を管理しています。
発電所で人気があるのはバイオガスプラントです。発電の際に燃料のガスを使い、発電しない時はガスをためておけるので、これは調整可能な再エネ電源になります。これに対し、天候に発電が左右される太陽光発電はまだ少ないのですね。ただようやくドイツでは、蓄電池が使えるのではないかという状況が生まれています。蓄電池を活用すると、太陽光発電や風力発電などの不安定な再エネ電源をより多く活用できるようになるので、VPP市場はまた変化するでしょう。
土肥氏●なるほど。蓄電池がなければVPPは成立しないという発想で、いまだに実証試験の段階にある日本に対し、ドイツでは蓄電池を使わずにVPP市場をつくってしまった。これは大きな違いですね。
ところで、北村さんは、今年4月1日に『地域活性エネルギーリンク協議会』を発足され、代表理事に就任されたと聞きました。具体的にどのような組織なのでしょうか。
北村氏●地域の活性化を目指し、再エネをツールに、新電力や発電事業者、地方自治体、民間企業などの連携を推進する組織です。具体的には、地域における新電力の立ち上げや事業運営、発電事業などの支援から、地域活性化につながる情報発信やまちづくりなどもサポートしていきます。
土肥氏●非常に意義深い活動ですね。今後の活躍に期待しています。