発電事業者の財産を守るテュフズードのメガソーラー認証

実績2GW超 欧州からアジアへ

世界に先駆けメガソーラー認証導入

テュフズードのメガソーラー認証マーク

その同社が、太陽光発電所の安全認証に着手したのは05年。当時は、太陽電池モジュールや周辺機器などシステムを構成する各発電コンポーネントの認証サービスは手掛けていたが、〝システム全体〟の安全性まで踏み込んでいなかった。しかしマーケットでは、メガソーラーの普及に伴い不具合案件が増加、発電事業者や金融機関からは太陽光発電所そのものの安全性を検証するサービスを求める声が上がっていた。そこでテュフズードは、業界でも先駆的に太陽光発電所の試験認証サービスを始めたのだ。

テュフズードのグローバル・プロダクト・マネージャーを務めるロバート・プトー氏は、太陽光発電所の安全性をこう定義する。

「安全性とは大きく二つあります。発火や爆発などによって人的被害を及ぼす危険はないか。そして、発電に不具合が生じたり、契約が履行されなかったりして、ユーザーが売電収入を得られないという収益上の危険はないか。発電所の所有者の財産を守るという観点から徹底した技術検証を実施しています」。

具体的なチェック項目は大きく5つ。①各発電コンポーネント、②設計、③契約書、④建設工程、⑤完成検査である。それぞれにおいて太陽光発電所の安全性を担保するに足るものかどうかを検証していくわけだ。

検査はまず①各発電コンポーネントの検証から始まる。モジュールやPCS(パワーコンディショナ)、架台などが、それぞれIEC(国際電気標準会議)の国際規格を満たしているものかどうかを確認する。

そして②設計だ。モジュールやPCS、ジャンクションボックスなどの配置、ストリングの構成、配線の状況などを調べ、技術的に問題がないか検証する。③契約書は、電力会社との売電契約や土地の貸借契約、EPC(発電所の設計・調達・建設)契約、製品保証などから売電事業の継続性を推し量る。このときEPC業者の実績なども調べる。

④建設工程は、現場で確認する。基礎工事から架台の据え付け、製品の搬入、施工まで現場の作業に問題はないか。そして最後は⑤完成検査だ。IEC 62446(系統連系形太陽光発電システム・受渡試験と目視試験および付属書類のための最小要求)に基づいて、完成した太陽光発電所のパフォーマンスと計画値とで乖離はないかを確認する。完成検査は、天候にもよるが早ければ2〜3日、遅くとも1週間程度かかる。

問題がなければ、テュフズードはその後3週間を目途にユーザーに調査レポートを提出し、必要があれば認証書を発行する。ただし万が一、一定の技術基準を満たさない場合は、発電事業者に改善を促して再検査する。

プトー氏は、「メガソーラーは、建設後半年以内に問題が発生するケースが多いのです。我々の取り組みはメガソーラーの安全性を確立すること。それが太陽光発電の普及に繋がるものになれば幸いです。これまで手掛けたものの多くは欧州の案件ですが、いまはアジア地域でのサービスを拡充しています」とし、「日本の企業にはこれまでモジュール、PCS、ケーブルなどの各発電コンポーネントに対して個別の認証サービスを行なってきましたが、今後はメガソーラーの分野にもサービスを拡充していきます」と語る。

テュフズードの取り組みによって、海外ではメガソーラーへのファイナンスを組成しやすい状況が生まれている。日本でもこのようなサービスが実施されるようになれば、太陽光発電プロジェクトがより活性化されるに違いない。

 

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