PID その真相を追う

セルを電気化学的に腐食させる これが真のPID現象

豊田工業大学 半導体研究室 住田勲勇 嘱託研究員

セルとフレーム側との電位差が拡がると漏れ電流が流れだし、水分によってイオン化した不純物まで、セル表層に拡散してくる。このときセルは絶縁体であるSiNx、反射防止膜によって被膜されているため、表層へと降り下りたイオンは中性になることもできず、プラス電荷としてセル内で新たな電界をつくってしまう。この電界が電子と正孔との再結合を加速させ、太陽電池の発電性能を奪い去る。
「これがPID現象だ」多くの研究機関はこうPIDメカニズムを解析してきた。だが先の事象ではどうしても説明できない現象が現実世界では起こっている。
PID現象とは一体何なのか。豊田工業大学、住田勲勇研究員の解説とともにその真相を追う。

PIDとは非可逆なもの

PIDとはセルを電気化学的に腐食させる現象。つまり、モジュール内の水分が不純物をイオン化させ、このイオンが外部電圧の電界によって移動してセル表層へと集まり、セル材料を電気化学的に腐食させる。

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