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能登半島地震で太陽光発電所が損傷

能登半島地震の発生から18日目、金沢市のEPC企業を訪問した。甚大な被害に見舞われた七尾市や内灘町では、太陽光発電所も損傷していた。(本誌・川副暁優)

「初めて命の危険を感じた。津波警報が発令され、すぐに山の方へ避難した」。

金沢市内に本拠を置くEPC(設計・調達・建設)企業のナカタケに勤務する野尻大輔営業主任は地震発生直後の状況をこう語った。

ナカタケの小島克郎常務は、「金沢で長く暮らしてきたが、あのような揺れは過去に経験したことがない」と述べ、「正月返上で現場を回った」と当時を振り返る。

ナカタケは、北陸を代表する太陽光発電のEPC企業だが、半世紀以上に亘って瓦屋根の製造・販売・施工を手掛けてきた老舗の屋根会社でもある。社員の安否を確認すると、1月2日から社員総出で客先を回り、損傷した屋根をシートで覆うなどの対応に追われながら、停電で瞬停した太陽光発電所を回って、復旧作業にあたったのだ。

震度6強を記録した七尾市では、沿岸部の高圧太陽光発電所が被害を受けていた。液状化現象で敷地内の地盤が引っ張られ、架台の一部が損傷した模様だ。

現場を調べた小島常務は、「幸いにも太陽光パネルやPCS(パワーコンディショナ)などの発電設備は無事に稼働していたので、事業者の方には余震が収まって落ち着いてから修復しようという話をした」という。

ともあれ、ナカタケが石川県内に建設した太陽光発電所は、低圧がおよそ100基で、高圧が50基程度であるが、内灘町内の低圧太陽光発電所1基を除いてほぼ損傷はなかったという。

これについて、小島常務は、「被害が深刻な地域にたまたま太陽光発電所を建設してこなかったからだろう」と流したが、実は同社、発電所をすべてスクリュー杭基礎ではなく、コンクリート基礎で建て、さらにそれらを繋ぐ工法を採用していたのだ。液状化現象で地盤が揺れた際に、基礎・架台も一体となって揺れ、それによって局所的な応力がかからなかったために損傷に至らなかった可能性もある。

能登半島地震から3週間になるが、県内6つの市と町では今もほぼ全域で断水が続き、1万5000人以上が避難所での生活を余儀なくされている。2次避難や広域避難が急がれる。

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