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アドラーソーラー ストリング分析技術開発

既存受託先に提供へ

O&M(管理・保守)専業のアドラーソーラーワークス(神奈川県横浜市、平野規紀社長)は、クラスタ異常の恐れのある太陽光パネルを含むストリングを見つけ出す分析法を開発し、2024年4月にサービスの提供を開始した。遠隔から不具合の可能性がある箇所を特定できる技術で、まずは既存のO&M受託先に提案していく。

同社は、同一のMPPT(最大電力点追従)回路に接続する2つのストリングの電流比を利用する独自の分析技術を開発し、頭文字を取ってMPSR分析法と名付けた。現在、特許出願中である。

同社は、PCS(パワーコンディショナ)が出力上限の飽和状態に到達した際、出力を最適化するために電圧値を上げつつ、電流値を下げる動作を取ることに着目。2つのストリングが1つのMPPT回路に接続されている分散型PCSであれば、飽和状態時にそのストリング同士の電流比を分析できることを見つけた。その電流値の差を分析し、クラスタ異常で出力が低下した太陽光パネルが連なっている可能性を洗い出すというわけだ。

同社営業部の山崎知也担当部長は、「クラスタ異常が発生していた場合、通常時は違いを見つけ難いが、飽和状態では電流値の下げ幅が大きくなる」と話す。ただし、それぞれのストリングの日射条件の差や過積載率によっても検出感度が変わるため、データとともに分析技術も必要だという。

同分析法を用いた検査は、ドローン(無人航空機)による全数検査と同じく不具合の恐れのある箇所を抽出することが目的となりそうだ。山崎担当部長は、「データさえあれば条件の良い日を複数選んだうえでいつでも低コストで分析できる。とはいえ、あくまでクラスタ異常の疑いのあるストリングをリストアップできる技術であり、木の葉や鳥の糞などによる影響かもしれないので、最終的な判断には現場確認が必要だ」という。

同社はこの分析法による新サービスを始めており、まずは既存のO&M受託先に提案する構えだ。分析レポートを年2回または年4回提出し、影響度や改善策なども提示する予定だ。

山崎担当部長は、「すぐに対処する必要がなければ、定期点検時などに確認することも可能だ」としたうえで、「適切な機器交換時期などの兆候や発電所の傾向を把握する手段としても活用したい」と語る。

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