傾斜、豪雪なんのその! 藤崎電機の創意と実行力

2016.04.01

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 悪条件下でいかにコストを削減し、太陽光発電所を建設できるか。挑戦を続ける藤崎電機(徳島県阿南市、藤崎耕治社長)は、傾斜地向けにスイス製の杭打ち機を導入したほか、豪クリーンエナジーとオリジナル架台を開発するなど、新たな取り組みを加速させている。

 太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)や発電事業で実績を伸ばす藤崎グループ。昨年は子会社のガイアパワーが京セラらと鹿児島県内で92MWの巨大メガソーラー『鹿屋大崎ソーラーヒルズ太陽光発電所』を建設すると発表した。年内には岐阜県高山市で2ヵ所計44MWの建設に着工する計画を抱え、いずれも18年末の運転開始を目指している。 
 ただ開発のハードルが上がっているのも事実。これらの発電所は立地環境が悪く、鹿屋大崎は起伏の激しい傾斜地で、高山は豪雪地帯だ。それだけに同社は海外の技術を活用しながら創意工夫を凝らしている。
 たとえば、鹿児島県の案件では、スイス製の特殊重機『スパイダーマシン』を活用する。これは四つの脚をそれぞれ独立で制御し、「まるで本物のクモのように障害物も傾斜面もお構いなし。最大45度の傾斜面も登ることができる」(藤崎耕治社長)。
 そもそもスパイダーマシンは、伐採用に開発された作業機械である。ただ先端部に装着できるアタッチメントが多く、木材や機材の運搬や杭打ちも可能で、1台で1日60本の杭を打設できる。同社は、特殊重機を導入して造成費を抑え、これまで開発を断念せざるを得なかった案件でも、建設できるようしたのだ。
 藤崎社長は、「鹿屋大崎ソーラーヒルズでは約200haの用地を活用します。これまで通り造成すれば、200億円近い費用がかかるが、我々は100億円以上コストを削減できるのです」と胸を張る。
 なお架台は、豪クリーンエナジー社と共同で開発した起伏のある斜面にも対応できる製品を使用した。

架台・施工費30%削減

 また、岐阜県高山市内の2ヵ所計44MWの自社案件では、オリジナル架台を活用する。同市は豪雪地帯で冬場の雪対策が課題だが、雪を落とすためにパネルの設置角度を45度にすると、夏場の発電量が落ちてしまう。そこで同社は、クリーンエナジー社と可変式の架台を開発、冬場は60度、夏場は20度といった具合に積雪対策と発電量の最適化を両立させ、コスト低減も図った。
 藤崎社長は、「積雪地域の架台は、杭を2本必要とするものが多いが、我々が開発したものは1本足です。杭の打設工数を減らせるので、架台自体のコストも落とせるし、施工費も削減できます」と説明する。
 施工費を含む架台のコストは、積雪地域では従来60円/Wかかっていたが、今回の架台を使用すれば40円/W台まで落とせるようだ。ただし、「落とした雪をどうするか。本当に効率的な角度は何度か。架台のメンテナンス方法なども含めて今実証試験している」(藤崎社長)。
 架台の角度は手動で変えなければならないが、発電所の保守と併せることで、余分な費用を削減する考えだ。30人×5日で点検と角度調整を行うことができる。
 一方、同社は今夏、山口県で出力2MWの自社バンブーバイオマス発電所の建設に取り掛かる予定だ。「スロベニアでの連続燃焼試験も順調で、竹の調達にも目途がついた」と藤崎社長。ほかにも、徳島県内の3ヵ所でバンブーバイオマス発電プロジェクトを進めている。
 このほか、水上設置メガソーラーや風力発電プロジェクトも進行中で、「エンジニアリング企業として、自然エネルギー発電のトータルソリューションを提供していく」というのが藤崎社長の方針だ。今年は多くのプロジェクトが動き出す。藤崎グループの挑戦は続く。

藤崎電機株式会社
徳島県阿南市辰己町1番地38
TEL:0884-21-0555
FAX:0884-21-0505
http://www.fujisakikk.co.jp/

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