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国内大手が住宅用蓄電池から撤退 NECに次いで東芝も

2018.10.30

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 NECに次いで東芝が住宅用蓄電池事業に終止符を打つ。蓄電池需要の拡大機運が高まるなか、なぜ国内大手は撤退するのか。(PVeye記者・岡田浩一)

 「東芝の蓄電池は性能がよく、寒冷地でも設置できるため、使い勝手がよかったのに。やめる予兆はなかったので驚いた」と、東北に拠点を置く販売会社の社長は振り返る。
 東芝グループで住宅用蓄電設備の販売を手掛ける東芝ライテックが、同事業を終息すると発表したのは9月14日。同社は昨夏、新製品を発売したばかりで、業界では戸惑いの声もこぼれている。関東のある販売会社の社長は、「我々がいい製品だと紹介して販売店に卸していたのに、いきなりやめることになって、販売店から苦情がきている。今、急いで代わりの製品を探している」と肩を落とす。
 販売会社からの評判は上々だった東芝ライテックの製品だが、同社はなぜ販売をやめてしまうのか。東芝ライテックは、「長寿命、安全性など性能面で差別化を図っていたが、(住宅用では)それを価格に反映させることが難しく、事業損益として厳しい状況が続いていた」(同社経営企画部)と説明。要は高額過ぎて売れなかったわけだ。
 ただ、東芝グループとしては、東芝インフラシステムズが製販を手掛けるリチウムイオン蓄電池を成長事業に位置づけており、今後は製品の特徴を活かせる車や鉄道、その他産業用に特化する方針だ。
 住宅用蓄電池市場では、今年に入ってすぐ、一時は販売シェアトップをひた走っていたNECが撤退を表明したことは記憶に新しい。理由について、同社は、製品販売ではなく、蓄電設備を活用する制御事業に特化するためと説明した。同社はグループ企業による蓄電池製造もやめるため、東芝とは方針が異なるが、両社ともいわば〝選択と集中〞を図ったわけだ。

コモディティ化の波

 しかし、見方を変えれば、東芝とNECは、コモディティ化による価格競争から脱落したともいえるだろう。
 現在の住宅用蓄電池市場は、認証の問題もあり、海外メーカーが参入しづらい状況だ。過去の蓄電設備への補助金に関しても「蓄電設備は日本製だが、蓄電池が海外製という理由から補助金が打ち切られた」と推測する者もいたほどで、日本メーカーを守るために海外勢を締め出す傾向がある。
 しかしそれも限界だ。今年、台デルタ電子が海外勢では初めて住宅用蓄電設備でJET認証を取得し、日本で販売を開始。デルタを皮切りに今後多くの海外勢が参入してくるはずだ。価格競争が激化するのは必至で、どこが勝ち残るのか目に見えている。両社が違う土俵で戦うという判断を今のうちに下すは、ある意味理に適っている。
 蓄電池市場に詳しい三菱総合研究所エネルギーシステム戦略グループの長谷川功主任研究員は、「価格競争では部が悪いので、日本企業は、サービスや技術力で勝負できるよう、準備を進めている」という。
 たとえば、ここ数年、破竹の勢いでシェアを伸ばす伊藤忠商事は、今年に入ってAI人工知能)技術を活用した蓄電事業を展開する英企業と提携し、最適制御の取り組みに着手した。
他にも、蓄電設備を活用して電力を融通し合うVPP(仮想発電所)の実証試験は、NECや電力会社を中心に着実に進んでいる。
 パナソニックをはじめ、トヨタや日産自動車、村田製作所などオールジャパンで進める全固体蓄電池の開発は、対海外勢を想定して、価格勝負に巻き込まれないための奥の手ともいえる。

消費者目線の値付けを

 ともあれ、メーカーがコスト低減を進めない限り、市場は拡大しないし、結果としてメーカーは生き残ることができない。
 現在、住宅用蓄電設備の市場規模は年間5万台程だ。住宅用太陽光発電設備が同20万件と考えると、市場拡大の余地は大きい。さらにいえば、太陽光発電設備が設置されている住宅は累計230万棟あり、そのうち50万棟が来年10月でFITの買取り期限を終える。それらが自家消費に移行すると考えれば、なおのこと市場は広がっていくだろう。
 しかし、住宅用蓄電設備の導入価格が1台200万円程度と高額なままでは市場の発展性は乏しい。消費者が購入しやすい価格帯、最低でも100万円以下に落とす必要がある。
 コスト低減の方法は様々だが、たとえば、パナソニックのように、車載用を含めた蓄電池から蓄電設備までを一貫で手掛けることでスケールメリットを活かす手法もあるだろう。
 あるいは流通改革だ。失敗したテスラの直販モデルが有効とはいえないにしても、メーカーから末端の施工・販売会社まで業者が3社も4社も介在する流通構造は見直すべきだ。
 いうまでもなく、性能や品質、ブランド力だけで製品は売れない。消費者の購買意欲を満たす価格にしなければ、売れないのである。国内メーカーが住宅用蓄電池市場で生き残るためには、コストに真正面から向き合う覚悟と、確かな勝算が必要なのではないか。

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