太陽光向け保険、料率上昇か 施工品質に疑問の声も

2020.01.06

PVeye

 自然災害による太陽光発電所の事故が増え、火災保険に影響が出ている。その一方で太陽光発電所の施工品質に対する疑問の声も挙がっている。(本誌・岡田浩一)

 近年、大型の自然災害が増え、太陽光発電所の事故件数が増加している。2015年度は13件だったのが、17年度には89件まで増えた。調査中だが、18年度は48件、19年度は35件の事故が発生しており、火災保険を使う機会が増えている。
 保険代理業のエーオンジャパン企画営業第四部の田中康裕マーケティングマネージャーは、「保険料は高止まりしている。(保険加入の)条件は年々悪くなる傾向だ」と状況について語る。
 とはいえ、保険料が上がっているのは太陽光発電所向けに限らない。住宅向け火災保険も、ここ数年は自然災害などの影響から毎年5%程度上がっている。
 保険料の上昇は、自然災害によるものであり、仕方のない部分もあるだろう。
 だが、リスク評価を手掛けるSOMPOリスクマネジメントの花岡健リスクマネジメント事業本部長は、「同じ自然災害でも、住宅より太陽光発電所の方が保険を使う割合は高いと感じる」と話す。エーオンの田中マネージャーも、「保険がすべてカバーしてくれると考える事業者が多い。品質の高い発電所をつくり、適切な保守を行うという意思が欠落しているように思う」と顔をしかめるなど、太陽光発電所の施工品質に疑問の声が挙がっている。
 実際、太陽光発電所の建設に関しては、明確な基準がないことが常々問題視されてきた。たとえば住宅であれば建築基準法という最低基準があるが、太陽光発電所はガイドラインがあるだけで、ガイドラインには法的拘束力はない。このような背景から火災保険は、「住宅などは長期契約も交わされるが、太陽光発電所はリスクが高いため1年契約が普通だ」(花岡本部長)。この先、保険会社が太陽光発電所は事故リスクが高いと判断すれば、料率をさらに引き上げるか、あるいは契約を更新しなくなるかもしれない。実際、エーオンは大型メガソーラーに特化して事業を行っているが、太陽光発電に前向きな保険会社は右手でも余る数まで減っていると言う。

保険が使えない?

 一方、発電事業者からは「被害に遭ったのに、保険が使えない」との声も挙がっている。事業者いわく「提出書類の粗を探して保険会社が保険を支払わなくて済むように仕向けている」とのことだ。
 これに対して、SOMPOリスクマネジメントの花岡本部長は「確かに免責事項はあるものの、それは重大な法令違反を犯しているものだけ。太陽光発電所は施工品質が低いものが目立つとは言え、免責事項が適用されることはほぼない」と話す。
 エーオンの田中マネージャーは保険内容を理解することが大事だとして、「最近はメンテナンス会社などが保険の代理店になっている場合もあり、事業者ともども契約内容を把握できていないといったことも考えられる。内容を熟知していなければ、保険会社と交渉はできない」と言う。
 大切なのは、発電事業者自身が保険内容をしっかりと把握することだろう。何よりも事故を起こさない太陽光発電所の開発を心掛けることだ。

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