千葉・水上メガソーラー事故 主因は「アイランド形状」

2020.05.01

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 2019年に発生した千葉県山倉ダムの水上メガソーラー事故の調査結果が明らかになった。「アイランドの形状」が主因とされた。(本誌・岡田浩一)

 東京センチュリーと京セラの合弁会社で太陽光発電事業を手掛ける京セラTCLソーラーは20年4月1日、19年9月に発生した千葉県山倉ダムの水上メガソーラー発電所の火災事故に関する調査結果を、経済産業省の専門会議で報告した。
 同社は事故の原因の1つに水上用架台を連結したアイランドの形状を挙げた。
 一般にアイランドは、形状が複雑な「複合形」と、単純な長方形の「矩形」に大別される。複合形の場合、アイランド外周部に配置するアンカーの向きが、たとえばある直線部分では東向きにしか設置できずに、南から強風を受けた際にアイランドに偏荷重がかかり、応力集中が発生するリスクが高いことが分かった。
 同社は、事故に遭った水上メガソーラーが複合形だったため、台風による強風の影響から一部のアンカーの受け待ち荷重が過大になり、アンカー抜けにつながったと報告。そのうえで、水上メガソーラー再稼働への事故防止対策として、アイランドを複数の矩形にする方針を示した。
 事故原因について、同社は他にも、アンカー設計時に、安全率を最大風力荷重に対して1.2倍にしていたことを挙げた。それでもアンカーの一部が抜けたことから、同社は元々の安全率に地盤支持力1.5倍を乗じた1.8倍以上の安全率でアンカーを設計するという。
 火災の原因については、破損したアイランド内でP極とN極のケーブル間でアークが発生したとして、P極とN極のケーブル距離を離し、距離が保てない場合は保護管に入れるとした。
 これらの対策を講じて、同社は「事業継続による再エネ促進に尽力する」(東京センチュリー広報)ため、21年度の早い段階での再稼働を目指す。なお、事故による被害総額や再稼働への費用は非公表とした。

水上設置の基準作成へ

 一方、水上メガソーラー事故原因の一つとして、そもそも水上設置太陽光発電の基準がない点も指摘されている。水上設置太陽光発電を含む、太陽光発電所の支持物の要求性能は、電気設備の技術基準の解釈第46条第2項で規定されているが、地上設置が前提だ。JISや民間のガイドラインも同様である。
 そこで経産省は、設計時に考慮すべき水上設置特有の荷重や波力・水位といった外力、部材性能について、電気設備の技術基準の解釈第46条第2項に盛り込むことを検討、改正案を作成した。20年5月までに意見公募し、6月の公布・施行を目指す。

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