米テスラが蓄電池出荷開始
価格競争過熱の可能性
米テスラが日本で住宅用蓄電設備の出荷を始めた。蓄電設備の価格競争が過熱するかもしれない。(本誌・岡田浩一)
「すでに蓄電池の第一号設置を終えた」。
2020年6月、テスラの住宅用蓄電設備を販売・施工するある企業の担当者がこう話した。
テスラは、直販に加え、一部の施工会社を通じて蓄電設備を販売している。現在、SIソーラーとJHS、光設備、ゴウダ、横浜環境デザイン、中部住器の6社がテスラ公認の施工会社とみられるが、他にも2社程認定されている模様だ。認定施工会社は19年末から順次提案を開始し、すでに住宅へテスラ製蓄電設備を設置した会社も出始めた。
ただ、6月18日時点でテスラは住宅用蓄電設備のJET(電気安全環境研究所)認証を取得していないようだ。同社は20年春に認証の取得を予定していたが、JETのホームページを見る限り、同社が認定を取得した事実は確認できない。
もっとも、住宅用蓄電設備の導入に際し、JET認証が必須というわけではない。ただ、蓄電設備を稼働させるには、事前に電力会社との連系協議が必要で、JET認証があれば、その連系協議を簡素化できる。それゆえ、認証取得後に提案を始めるメーカーが大半なのだが、認証を取得していなくとも、メーカーが電力会社と協議するための資料を作成するなど、販売会社と情報を共有することで連系協議は進められる。
テスラは、蓄電容量13.5kWhの単機能型蓄電設備を税別99万円で売り出している。施工費を40万〜55万円程と見積もり、kWhあたり10万〜11万円程の末端価格で販売する計画だ。これは相場より2〜3割程安い。
テスラは16年10月にkWhあたり5万円台という破格の価格設定で住宅用蓄電設備の予約受付を開始したが、3年以上出荷できなかった。それだけに、「施工費までテスラが格安で設定したため、施工会社の協力を得られなかったのではないか」といった声もあった。
この反省から、テスラは今回、製品の価格低減に努めつつ、施工会社と協業する体制を築いたのかもしれない。そして19年10月に再び住宅用蓄電設備を販売する見込みが立ったことから、記者会見を開き、20年春に売り出す意向を示した。