〝卒FIT〟余剰買取り 大手電力のプラン出揃う
大手電力10社による〝卒FIT〟余剰電力の買取りプランが出揃った。「預かり」など想定外のサービスもあり、蓄電池関連会社との競争が激化しそうだ。(本誌・岡田浩一)
6月27日、北海道電力と東京電力エナジーパートナーがFITの売電期間を終える住宅用太陽光発電の余剰電力に対する買取りプランを発表し、ついに大手電力10社のプランが出揃った。
各社の買取り単価は1kWhあたり7〜9円と「ほぼ想定通り」(蓄電池メーカー筋)だが、想定外だったのは沖縄電力を除く9社が単純な買取り単価だけではなく、多種多様なプランを示したこと。蓄電設備メーカーや蓄電設備の販売会社にとっては逆風となりそうだ。
たとえば、ほとんどの大手電力が打ち出した『預かりプラン』。これは住宅オーナーが自家消費用に蓄電設備を設置しなくても、逆潮流した電力を〝仮想的に〟ためて、自家消費したと見做す。売電価値に換算すると、1kWhあたり10円程度だが、初期投資が不要ゆえ、住宅オーナーの蓄電設備の購入意欲を削ぐことになるかもしれない。
だが、ある蓄電設備販売会社の担当者は、「一見、初期費用なしで蓄電設備を設置したように見えるが、このプランでは停電時に電力を取り出せない。蓄電設備とは全くの別物だ」と指摘する。自家消費量は増やせても、非常用電源にはなり得ないというわけだ。
確かに、住宅オーナーは蓄電設備の非常用電源としての価値に着目して購入しているケースが大半だ。預かりサービスとの差別化は維持されるのかもしれない。