環境省、脱炭素先行地域を選定 滋賀・米原、岡山・真庭など26自治体
二酸化炭素排出ゼロを目指す地域を環境省が後押しする脱炭素先行地域の1回目の選考結果が公表された。滋賀県米原市や岡山県真庭村など26の自治体が選ばれた。(本誌・中馬成美)
『脱炭素先行地域』とは、行政区や集落内で、主に電力消費に伴う二酸化炭素排出量ゼロを2030年度までに実現する地域を指す。環境省は、25年度までに100ヵ所選定し、各地域に総事業費の3分の2の補助金を支給する。年2回程度募集する予定で、1回目の結果を22年4月26日に公表した。共同提案などを含め、102の自治体から79件の応募があり、滋賀県米原市や岡山県真庭村、宮城県東松島市、福岡県北九州市、秋田県など、26の自治体を選定した。
評価委員会を設け、ヒアリングなどを実施し、加点方式で選考しており、環境省大臣官房地域脱炭素事業推進調整官室の近藤貴幸調整官は「地域課題の解決に資するものや電力需要や供給側も含めて関係者との合意形成が進んでいるものなど、計画の実現可能性や先進性が高いものが評価された印象だ」と振り返る。
今回採択された滋賀県米原市は、ヤンマーホールディングスとの共同提案で農山村部の脱炭素計画を提出した。米原市は米原駅周辺の公共施設、ヤンマーが保有する研究所などの使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるとともに、柏原駅周辺の耕作放棄地で蓄電設備を備えた出力1.6MWの営農用太陽光発電事業を行うという。営農用太陽光発電を行うエコビレッジエリアには、ヤンマーが開発するAI(人工知能)などを活用したハウス型の園芸施設を設置し、雇用の創出などを図る。
エコビレッジと米原駅周辺では再エネ電力由来のEV(電気自動車)を活用した乗り合いタクシーを走らせ、運輸部門の二酸化炭素削減に繋げる構想だ。
米原市には、現在3件の営農用太陽光発電があるが、事業を通じて市内の営農用太陽光発電の普及を図る考えで、米原市市民部自治環境課の大塚祐司課長補佐は、「営農用太陽光の大規模事業者モデルを構築し、長期間運用した際の課題を探っていく。営農用の殊勝ケースにしたい」と意気込む。
選定地域は、毎年度取り組み状況を環境省に報告するとともに、最終年度末に結果を報告しなければならない。評価委員会が進捗状況をヒアリングし、一定の水準に満たない場合は先行地域が取消される。次回は秋の選定を目指し、募集は夏頃になりそうだ。