兵庫県、300kW超太陽光発電所の9割超で安全性を確認
兵庫県は、県内の出力300kW以上相当の太陽光発電所1154件に点検を要請し、9割以上が県の基準に適合していたと公表した。(本誌・中馬成美)
兵庫県は2022年6月17日、県内の出力300kW以上相当の地上設置型太陽光発電設備の所有者に自主点検を要請し、9割以上の太陽光発電所が県の基準に適合していたと公表した。県によると、対象の1154件のうち、1139件の発電事業者から報告を受け、安全対策が実施されていることを確認したという。
兵庫県まちづくり部建築指導課開発指導班開発審査担当の富岡雅則主幹は、「安全対策に不備のあった太陽光発電所は3件だった」とし、「今回は98%以上の発電事業者が点検に応じた。どこにどのような太陽光発電所があるのか、情報が集まり、災害のリスクを把握するうえでも役立った」としている。
太陽光発電所の開発による防災機能の低下や太陽光パネルの反射光による住環境の悪化などの問題が取り沙汰されるなか、県は17年7月に『太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例』を制定した。FITの認定を受けた事業区画5000㎡以上の太陽光発電所の所有者に事業計画の届け出を求め、そのうち地上設置型の太陽光発電所を持つ発電事業者に自己点検を行うよう要請した。
兵庫県の富岡主幹は「静岡県熱海市で発生した土砂災害を機に21年7月から点検を始めた」とし、「点検には、条例施行前に建設された安全基準の不明な太陽光発電所に対し、改めて安全性を確認するという意図もあった」と狙いを語る。
県が作成した自己点検票には、地盤の安定性のほか、下流域の民家の有無や、事業区域が土砂災害警戒区域に含まれているか否かなど、様々な事項がある。県は点検の要請に応じない発電事業者には指導し、改善されない場合には事業者名を公表するとしており、21年10月時点は対象の1170件のうち、報告のなかった249件には行政指導を行っている。
それでも、全体の1.3%、15件は点検結果が未報告で、うち半数は所在が不明なため、富岡主幹は、「現場を確認して安全性を担保していく」としている。なお、太陽光発電所の所在地と点検結果は市町別にすべて公表しており、県や市のホームページで確認できる。
太陽光発電の開発で地域住民とのトラブルが相次ぐなか、自治体は地域住民との調和を図りながら再生可能エネルギーを導入していかなければならない。開発から運転開始後まで自治体が管理する兵庫県のモデルは、一つの有効な手法と言えそうだ。