FIT・FIPで屋根設置区分を設定へ
早ければ23年度下期から
2024年度以降のFIT・FIPの制度設計に関する議論が始まった。早ければ23年度下期から10kW以上の屋根設置案件の新区分が設けられる見通しだ。(本誌・楓崇志)
2022年12月26日、FITやFIP(フィード・イン・プレミアム制度)の詳細などを決める第82回調達価格等算定委員会が開かれ、太陽光発電や風力発電に関する議論が行われた。23年度のFIT・FIP単価などは21年度の算定委で決定しているため、22年度の算定委では再来年度となる24年度のFIT・FIP単価などを話し合う。
決定済みの23年度の太陽光発電のFIT売電単価は、10kW未満の住宅用太陽光発電がkWhあたり前年度比1円減の16円、地域活用要件を満たす10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電が同1円減の10円となる。50kW以上の事業用太陽光発電では、500kW以上がFIP入札のみで、500kW未満はFITと入札対象外のFIPから選択できる形となる。入札対象外のFIT売電単価とFIP基準単価は同0.5円減の9.5円だ。
今回の算定委では、事業用太陽光発電の屋根設置案件を促す方向性が打ち出された。屋根設置案件は、22年度から既築建物への設置時に入札が免除されたり、集合住宅への設置時に適用要件が緩和されたりしたが、24年度からは地上設置案件と区分して屋根設置案件のFIT売電単価とFIP基準単価を新たに設定するという案が示された。政府は屋根面積の最大活用を促すため、10kW以上の単価を一律で設定する方針だ。
設置形態毎の単価設定は、FITの運用で先行するドイツなどで採用されており、日本でもFIT開始当初から導入の必要性が指摘されてきたが、ここに来て採用する可能性が強まった。
新区分は24年度から導入される方向だが、屋根設置案件の単価算定の想定値を見ると、地上設置案件を前提とした23年度における50kW以上の単価算定と比べ、運転年数が5年短いうえ、資本費が高く、設備利用率は低い。つまり、24年度の屋根設置案件の単価が23年度の単価を上回る可能性がある。その場合は、23年度の50kW以上の屋根設置案件の導入停滞を回避すべく、23年度下期から前倒しで24年度の新区分の単価適用を始める見込みだ。
また、同日の算定委では、22年8月に開かれた別の審議会で明らかになった低圧太陽光発電のFIP対象への追加に関する議論も進んだ。事務局は、電気事業法上の発電事業者あるいは直接の契約関係に基づき、電事法上の小売電気事業者や特定卸供給事業者などに供給することを適用条件としつつ、地域活用要件である災害時の自立運転や給電用コンセントの設置を求める案を提示した。