新型コロナ禍で独再エネ界に異変
電力市場に異変⁉
経済活動が停滞し、電力需要が低迷した。BDEW(ドイツ連邦エネルギー・水道事業連合会)の4月6日の報告によると、20年2月から4月の電力需要が過去3年と比べて落ち込み、第14週は過去3年平均を3.7%下回った。これにより、電力先物価格が下がり、1ヵ月先、2ヵ月先の先物価格は3月から急落。ベースは1kWhあたり20ユーロを割っている。
昨年は再エネ電力の卸価格が上昇し、FIP(フィード・イン・プレミアム制度)による支援価格が再エネ電力の卸価格を下回り、プレミアム支払いのない案件もあったが、今年は再エネに対するプレミアム支払いが増え、再エネ賦課金が上昇する懸念もある。
あるいは、電力需要が減り、再エネ電力が余ると、電力取引市場が再エネ電力にネガティブ価格をつける時間が増える。3月はネガティブ価格をつけた時間が130時間あり、前年同月の90時間から大幅に増えた。ネガティブ価格が6時間以上続けば、FIP利用者は支援を受けられず、採算の悪化は免れない。
一方、欧州では、排出権取引価格が1トンあたり25ユーロから約17ユーロまで落ち込み、化石燃料の価格低下と相まって石炭火力発電の競争力が増すと言われる。これにより、PPA(電力購入契約)による〝非FIT〟の再エネ発電所の新設案件が滞る懸念もある。長期にわたって電力価格が低迷すれば、頓挫するPPA案件は増えるだろう。
ともあれ、コロナショックの影響で経済活動が冷え込み、ドイツでは20年時のCO2排出量を1990年比40%削減する目標を達成できる見込みだが、これは朗報ではない。投資が落ち込んで再エネ投資が滞れば、30年時再エネ比率65%の目標が実現できない可能性もある。