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宮城県、〝再エネ新税〟の素案公表

林発0.5ha以上に課税 営業利益の2割超徴収へ

宮城県は2023年2月、導入を検討していた〝再エネ新税〟の素案を固めた。0.5ha以上の林地を開発する再エネ発電事業者に課税し、営業利益の2~3割を徴収する方向だ。(本誌・土屋賢太)

宮城県は、〝再生可能エネルギー新税〟の導入を検討するにあたって、『宮城県再生可能エネルギー税制研究会』を発足し、5人の有識者と5回に亘る協議を経てこのほど素案を固めた。

それによると、再エネ新税を法定外普通税と定め、課税対象を0.5‌ha以上の林地を開発する太陽光発電事業者と風力発電事業者、さらにバイオマス発電事業者とする。ただし、条例の施行時点で稼動済みの再エネ発電所や着工済みの案件を抱える事業者は課税の対象外だ。新税の導入には、大規模な森林開発の抑制と再エネの開発を適地に誘導する狙いがあるようだ。

県は、FIT価格や収益の違いを踏まえ、営業利益の2~3割が税額の目安としたうえで、太陽光発電は1130円/kW、風力発電は4200円/kW、バイオマス発電は2190円/kWと、それぞれ税率を設定した。電源種ごとのkWあたりの税率に出力を掛け合わせた額を再エネ新税として徴収する考えだ。

宮城県環境生活部の小林歩再生可能エネルギー室長は、「再エネ新税の目的は適地誘導策だ」としたうえで、「太陽光発電や風力発電、バイオマス発電による売電収益性を考慮し、公平性を保つため、それぞれ異なる税率を設定した」と語る。

県は、税の徴収法を賦課課税とし、課税前年度の1月1日時点の現況に対し毎年課税する。税の使途は適地誘導策や環境保全に充てる方向だが、3~5年で課税の役割や効果を検証する。

具体的には、遊休地である農地やため池、商業施設の屋根上などへの誘導や再エネ発電施設への融資のほか、次世代太陽光発電の実証事業などに充てる模様だ。森林開発で失われた森林の代替となる再造林なども計画している。

その一方で、県は再エネ促進区域の設定を市町村に促す。事業者に明確な促進区域を提示することで、再エネの開発を誘導していく。

23年3月7日、再エネ事業者に対して再エネ新税の素案説明会を実施した。23年5月に最終案をまとめ、23年6月の県議会で条例案を提出する。小林再生可能エネルギー室長は、「駆け込みの着工を防ぐために、24年4月までの条例化を目指す」と語る。

なお県は、『みやぎゼロカーボンチャレンジ2050戦略』の策定を進めており、30年までに再エネ発電設備容量を13年度比12.1倍の3800MWまで増やす計画である。新税によって適地へ誘導しつつ、再エネの投資を減退させない構えだ。

宮城県が発足した『宮城県再生可能エネルギー税制研究会』。大阪府立大学の田中治名誉教授が座長を務める

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