動き出した太陽光パネルの再資源化
新規参入増えるか
この状況下、太陽光パネルの再資源化に新規参入する企業が出てきた。
廃棄物処理業を手掛ける宮城衛生環境公社(宮城県仙台市、砂金英輝社長)は、発電事業者や解体業者から受注して23年4月より太陽光パネルの再資源化事業を開始する。特徴的なのはガラスの剥離工程だ。アルミフレームを外した太陽光パネルの強化ガラスに鉄の玉を当てて粉砕する手動式ガラス剥離装置を導入し、作業員が装置を操作することで変形したパネルにも対応できるようにした。1日120枚、年間2万8800枚のパネル処理が可能だという。
専用の機器を販売することで再資源化を支援する企業もある。太陽光パネル洗浄機器メーカーの韓・リセットカンパニーは23年春にアルミフレーム外し機を日本で発売する。同社はパネルのジャンクションボックスとアルミフレームを自動で取り外す製品を開発。パネル1枚当たり、40秒程で処理でき、両面パネルにも対応させた。価格は1000万円程度となる模様だ。同社の金正潤取締役は、「事業者が増えているので日本で販売することにした」とし、韓国国内では再資源化の事業に参入するようだ。
このほか、太陽光発電設備の販売・施工を手掛ける桜木総研(千葉県八街市、松原立社長)も23年7月より再資源化事業に参入する予定である。
とはいえ、廃棄太陽光パネルは、災害などによって一時的に排出される場合が多く、まだ排出量は少ない。事実、宮城衛生環境公社の砂金社長が、「パネルの排出量が少ないので自動車のガラス処理も併せて行う」と言えば、18年に再資源化を始めた新菱サーキュラーエコノミー事業部門の守谷大輔企画・リスク管理本部長は、「年間で約3万枚処理しなければ採算は合わず、現時点で事業の見通しが立て難いのが現状だ」という。
それでも企業が新規参入するのは、認知度を拡げる狙いもあるようだ。新菱の守谷本部長は、「埋め立て処理と比べ、再資源化の費用が高いにもかかわらず、発電事業者に再資源化を選択してもらうためには、実績をつくり、知ってもらう必要がある」とし、23年4月から新工場を稼働させ、新工法による再資源化に力を入れる構えである。
国や自治体も大量廃棄時代に向け、補助金を給付するなど、再資源化事業を支援している。企業の参入は進むのだろうか。