長州産業、太陽光パネル工場3倍に増強
年産500MW体制構築
国産パネルに追い風!?
ともあれ、なぜ同社は太陽光パネルの生産を継続できたのだろうか。太陽光パネル市場では、かつて価格競争力のある中国メーカーが日本市場に参入し、日本の大手パネルメーカーが軒並み生産を縮小し、撤退に追い込まれた時期があった。当時は長州産業にとっても厳しい市場環境だったはずだ。まして同社は09年に太陽光パネル製造を開始した後発メーカーで、当時はシャープや京セラ、旧三洋電機、三菱電機といった大手メーカーと比べて目立たない存在だったのだ。
恐らく、FIT全盛期も、大規模な投資を控え、住宅用太陽光発電の事業領域を軸に事業を進めてきた堅実さが勝因なのだろう。国内生産にこだわり、性能や品質管理に力を入れることで、コアな顧客層を獲得してきたに違いない。いわゆる身の丈に合った経営の実践だ。
では同社は今後どのように展開していくのだろうか。とりわけ長州産業に対する期待は大きいようだ。というのも、コロナ禍を経て太陽光パネルの価格が上昇する一方、電力価格が高騰したことで、海外製パネルの割安感が相対的に低下した。さらには、海外メーカーの日本市場に対する魅力が低下している可能性もある。ある再生可能エネルギー企業の社長はこう指摘する。
「住宅用太陽光パネルのメーカー卸値は、米国ではW単価60米セント(約80円)で、欧州でも同50ユーロセント(約74円)だ。日本の相場は同60円程度だから、いまや欧米の水準よりも安いのである」。
つまり海外勢は、割安な日本市場で太陽光パネルを販売するよりも、他国へ輸出する方が儲かるというわけだ。国産パネル志向が再燃するかもしれないのだ。長州産業にとっては好機到来か。