住宅用太陽光パネルの撤去・回収を整備
東京都がマニュアルを公開
東京都は2023年5月、住宅用太陽光パネルの撤去や収集運搬に関する事業者向けマニュアルを作成する。適正な廃棄処理を促し、廃棄パネルを再資源化する体制を整えていく構えである。(本誌・土屋賢太)
東京都は、太陽光パネルの再資源化に関するマニュアルの作成にあたって2022年9月に『東京都太陽光発電設備高度循環利用推進協議会』を発足、有識者と3回に亘る協議を経てマニュアルを作成する。
解体業者向けの太陽光パネル取り外しマニュアルと、収集運搬業者向けの収集運搬マニュアルを用意し、取り外し後の発電防止策や絶縁処理の方法、収集運搬上の注意点などを分かりやすくまとめる。都のホームページ上で公開する予定だ。
経済産業省の公表資料によると、都内の住宅用太陽光発電の累計導入量は22年9月末時点で490MW程度であるが、これを都は25年に住宅用太陽光発電設備の設置義務化を条例で定め、30年までに1GWまで増やす計画だ。これに伴い、30年代半ば以降から住宅用太陽光パネルの大量廃棄が想定されるため、都は今回、解体、収集運搬に関する事業者向けのマニュアルを作成する。
都によると、マニュアルの作成に関しては、環境省が18年に策定した『太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン』を参照したという。ただ、環境省のガイドラインは、再資源に係る発電事業者や中間処理業者を対象としたもので詳細に記載されてはいるものの、解体業者や収集運搬業者にとっては実用的ではなかったようだ。
東京都環境局資源循環推進部の山田英樹資源循環調整担当課長は、「環境省のガイドラインは100頁を超えており、作業現場では読まれ難いものだったので、現場で内容を確認できるよう分かりやすいマニュアルを作成することにした」としたうえで、「廃棄パネルを適正に処理する体制を構築していく。今後は、都民に情報を周知しつつ、相談を受ける体制も整えていきたい」と語る。
都は23年度から27年度まで『使用済住宅用太陽光パネルリサイクル促進事業』の補助事業を実施する。23年5月下旬に太陽光パネルの中間処理業者を選定する模様だ。