営農用太陽光で相次ぎFIT認定取り消し
異例の暴行事件に、農地法違反
コンサルティング会社の担当者による異例の暴行事件や農地法の違反が複数発覚し、経産省は営農用太陽光発電事業のFIT認定を相次いで取り消した。3ヵ月間で取り消しや取り消し手続きが8件にのぼった。(本誌・土屋賢太)
経済産業省資源エネルギー庁は2023年4月28日、2月から4月にかけて低圧の営農用太陽光発電事業のFIT認定を5件取り消し、取り消し手続き中の事業廃止が3件あったと公表した。
事業廃止の3件は、山梨県北杜市内の開発案件で、いずれもコンサルティング会社の担当者が住民説明会の参加者に暴行を加えるという異例の事件を起こしたことが原因である。うち2件はSSエナジー(埼玉県春日部市、清水敬一郎社長)が、1件はグリーンエコライフ(神奈川県川崎市、中島銑良社長)がそれぞれ開発を進めていたが、両社は営農用太陽光発電のコンサルティング会社、エヌエスイー(東京都世田谷区、福島勇社長)に開発業務を委託しており、エヌエスイーの担当者が暴行に及んだ模様だ。
関係者によると、開発に反対する住民に対し、エヌエスイー技術顧問の中村驥氏が再三に亘って恫喝していたため、事態を重く見た北杜市の高見澤伸光市議会議員が22年7月14日の説明会に参加したところ、事件が発生したという。
高見澤市議によれば、「説明会開始後20分経った辺りで中村氏が住民を恫喝したので仲裁に入った。その際に中村氏から腕を掴まれるなどの暴行を受け、打撲や神経麻痺など全治2週間の怪我を負った」。
高見澤市議は被害届を提出し、中村氏は10月17日、検察に略式起訴された。SSエナジーとグリーンエコライフはエネ庁より認定取り消しの聴聞を受け、23年2月に事業を廃止している。