22年度の再エネ出力抑制量5.7億kWhに
中部電、北陸電が出力抑制開始
解決策は、蓄電池
出力抑制問題の解決策に、電力系統の増強計画がある。電力広域的運営推進機関が策定した50年までのマスタープラン(電力系統の増強計画)によると、再エネ電源の出力抑制率を約12%以内に抑えることができきるという。
それでも抜本的な解決策にはなり得ないようだ。東京大学新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻の馬場旬平教授は、「マスタープランは、今後導入が拡大する風力発電に対して効果はあっても、太陽光発電の出力抑制対策としての効果は薄いだろう」と述べる。
ならば、推し進めるべきは蓄電池の普及拡大だろう。再エネ電源に蓄電池が併設されれば、不安定な再エネ電源は、ベースロード電源に姿を変え、調整可能なミドル電源やピーク電源にもなり得る。むろん、蓄電池の価格低減を進めなければならないが、FITによる再エネの導入支援のように、割高な蓄電池を導入しても収益性が担保される事業環境を一時的にでも助成していく必要はあるだろう。
馬場教授は、「まずは再エネの発電事業者が需要の動向を見ながら事業を進めていくべきだ。そのうえで、今後は系統用蓄電池や太陽光発電所に併設される大型蓄電池が出力抑制対策の鍵になる。蓄電事業者が重要なプレーヤーになる」と語る。
脱炭素化に向け、再エネのさらなる普及拡大は欠かせない。出力抑制問題を早期に乗り越えなければ、脱炭素社会は実現しない。