太陽光にアセス義務化も対象は限定的か
限られた対象事業
もっとも、検討されている規模要件に合致する案件はごくわずかのようだ。
太陽光発電所を開発するサンテックエナジーディベロップメントIPP・EMSグループの武田宏樹グループマネージャーは、「今年度の第2回入札の上限価格は15.5円だったが、この条件で100haもの山林を造成すると、とても採算が合わない」とし、「第3回入札の196.6MWという募集容量に鑑みて、規模要件に触れる案件は多くとも年間数件程度だ」と話す。
さらに、未稼働の大型案件に対して経済産業省は10月、運転開始期限を設ける方針を示した。間に合わない事業の放棄が予想されるうえ、環境影響評価の政令改正は来年度以降となる見込みだ。環境影響評価の対象となる未稼働案件はわずかしかないだろう。
対象案件が少ない可能性について、環境省環境影響評価課の郡島啓担当は、「今後、売電期間終了後の太陽光発電所の太陽光パネルの張り替えなどで大規模な工事があれば、環境影響評価が必要になる場合もある」との見方を示す。そのほか、桜美林大学の片谷教授によれば、「自治体の環境影響評価条例の方が厳しい条件を定めている例もあり、敢えて環境影響評価法の対象となる規模に事業を拡大する」ケースもあるという。
日本各地にメガソーラーが建設され、地元住民とのトラブルが多く、太陽光発電に対する印象が悪化している。今回の環境影響評価制度は遅きに失したのではないか。