九電が出力抑制実施
公平性の担保が課題
10月13日から2日間、九州で太陽光発電の出力が抑制された。離島を除いて初となる。今後も電力需要の小さい時期に実施される見通しだが、公平性の担保が課題だ。
九州電力は10月13日と14日、九州本土で初めて太陽光発電所の出力抑制を行った。件数は非公表としたが、13日は320MW、14日は540MWに及ぶ太陽光発電所の出力を抑制した。
太陽光発電の出力抑制は、春や秋など電力需要の低い時期の日中に太陽光発電の出力がピークに達し、需給均衡が崩れることで停電を引き起こす可能性があるとして、電力会社の判断で出力を止める措置である。
今回の抑制対象は、住宅用を除く出力10kW以上の太陽光発電所で、旧ルール事業者と指定ルール事業者で区別はなかった。
旧ルールとは、電力会社が出力500kW以上の太陽光発電所に対して年間30日まで無償で出力を抑制できるルール。九電管内では2015年1月25日までに九電から連系を承諾された発電事業者が対象だ。
一方、電力会社が太陽光発電所の規模に関係なく、無制限・無補償に出力抑制できるのが指定ルール。九電管内では15年1月26日以降に九電から連系を承諾された発電所の事業者が対象となる。出力抑制に対応できる機器の設置が義務づけられている点も旧ルールとは異なる。
出力抑制にあたって、旧ルールと指定ルールの事業者では、九電から受ける連絡方法など異なる点がある。旧ルール事業者は、出力抑制対応機器を設置していない場合が多く、前日に電力会社から電話とメールで抑制の連絡が入れば、翌日、自ら発電所まで赴いて設備を止めなければならない。今回抑制されたある旧ルール事業者は、「前日に突然連絡が入って、翌日遠方の発電所まで行かなければならず大変だった」と振り返る。
一方、指定ルール事業者は、自動で抑制されるため、九電から連絡を受けることはない。事業者は遠隔監視装置で確認するほか、抑制の有無を判断する術はない。
九電は両日とも原則9時から16時まで出力を抑制したが、指定ルール事業者に対しては、「遠隔制御が可能なので、少しでも制御量を少なくするため、需給を見ながら順次自動で解除した」(九電広報部)。
だが、14日はこの解除システムに不具合が生じた。寸前に抑制が不要と判断された約3300件、出力計175MWの発電所に対して解除の指令が遅れ、30分間、誤って抑制してしまったのだ。
九電は不具合の検証を進めるようだが、補償などは考えていないという。