中国ZTEクァンタムがドロン
メーカー責任を放棄
出力抑制対応も問題
実は、ZTEクァンタムのPCSは不具合が多かったようだ。とくに13年から1年程、日本に出荷された5.8kW機の初期モデルには「設計ミスがあり、不良率は30%以上だった」(メーカー筋)という証言もある。
実際5.8kW機の初期モデルを販売したフォレストにはクレームの連絡が後を絶たず、同社は改良した代替品をZTEクァンタムから取り寄せ、不具合が発生する度にPCSを入れ替えていた。
しかし今回、ZTEクァンタムジャパンが撤退し、親会社のZTEクァンタムとも連絡が途絶えたため、代替品の供給が滞りかねない事態に陥っている。
フォレストの森会長兼CEOは、「在庫が切れたら対処できない」と洩らしつつ、「そもそも、ZTEのPCSをすべて日本製に交換しない限り、抜本的な解決にはならない。ZTEがその費用を負担して賠償するのが筋だ」と語気を強める。同社が販売したZTEクァンタム製PCSは3000台に及び、すべて取り換えるには8億円は下らないだろう。
一方で、出力抑制の対応も問題だ。太陽光発電の出力抑制ルールが変更された時期に、他のPCSメーカーと同じくZTEクァンタムも対象のPCSに後づけする出力抑制対応機器を用意した。
だが、九州電力管内こそ行き渡ったものの、四国電力管内では未設置のところもあるらしい。にもかかわらず、ZTEクァンタムから出力抑制対応機器を調達できないのだ。在庫が尽きると、四電管内の出力抑制に対応できず、最悪の場合、発電事業者が電力会社から売電契約を打ち切られる懸念もある。
確証はないが、ZTEグループはPCS事業から全面撤退し、中国のZTEクァンタムも清算する方向で準備を進めているらしい。仮にそれが事実だとしても、PCSメーカーの責任を放棄し、取引先との契約を反故にしてよいわけがない。
このままトラブルを放置すれば、ZTEグループ全体の信用が失墜し、日本における通信端末事業に影響が及ぶ可能性もないではない。