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長野メガソーラー計画が難航

ループ歩み寄るも地元住民が反対

募る不信感 進まない交渉

ループは現在、環境影響評価を終え、評価報告書に当たる『準備書』を策定する段階にある。今年2月には関係自治体で準備書に関する事前説明会を実施したが、住民との交渉に行き詰まっている。同社IPP事業本部電源開発部プロジェクト推進課の園部創氏によれば、「年初に立てた予定から半年ほど遅れている」。

しかしなぜ住民は断固反対の姿勢を崩さないのだろうか。ループは住民の要望に応え、環境影響評価を実施して歩み寄ろうとしている。住民の根底にあるのは、ループに対する〝不信〟だ。

柴田会長は、過去のループの対応に不信感を募らせてきたとし、こう漏らした。

「7月頃、地区内の河川水を調査したいとの書面がループより送られてきた。書面には『長野県の指導のもと調査を行う』旨が書かれていたが、調べると指導の事実はなかった」。

ループの園部氏は、「調査の実施は県の指導に基づいたものと理解していたが、県の見方は、調査は事業者の義務の一環に過ぎないというもので、見解の相違があった」と説明。「河川調査の説明会を設けても、文書の表記に係る議論から先に進めない」と苦い顔だ。

些細な行き違いとも思える話だが、これまでの経緯を見ると、計画当初のループの対応が住民の感情を硬化させてきた様子が伺える。

第一に、方法書が詰め切れていなかったこと。実際、米沢地区で反対運動が広がったのは、公告後の16年から17年にかけてだ。方法書には当初から不備が指摘されており、特に整地で排出される残土を事業地内の沢に廃棄する計画は、2度の変更の末に事業地外の採石場跡を利用する計画へと変更された。最終的にループが計画を再検討したとはいえ、当初の計画内容や二転三転する対応が住民の不信感を招いた。柴田会長は「ループ自身が工事についてよく分かっていないのでは」と疑念を抱く。

第二に、ループの地域住民への気配りが不十分だった可能性もある。同社は環境影響評価への対応を決める以前、改正条例が自社の事業に適用されないよう署名活動を実施していたのだ。その理由を「地権者から要望があったので、事業の早期開始が地権者の利益になると考えていた」(森田取締役)と説明したが、裏を返せば地権者以外の人々への配慮に欠けていたといえる。15年の計画発表当初から反対運動に携わる米沢地区の塩澤幸子さんは、「進んで環境影響評価を行おうという感じではない」と同社の姿勢に苦言を呈した。

第三に、自社の紹介も十分ではなかったようだ。柴田会長は「ループは役員の情報も決算資料もなく、どんな会社なのか分からない」と述べ、地元で農業を営む吉田基之氏も「事業終了後に原状復帰するというが、信用できない」と憤る。

むろん、ループは条例に則って開発している。茅野市議会は、建設計画中止を要請する陳情に対し、陳情趣旨のみの採択に留めた。茅野市役所と諏訪市役所の両自治体も事態を静観する姿勢だ。ループは、法的に問題なく、太陽光発電所の開発を進めることができる。

ただ、地域住民との折合いを無視したメガソーラー開発は控えるべきだろう。各地で地元住民の反対運動が起こっており、太陽光発電所は社会的受容性を失いかねない状況だ。このままでは原子力発電所と同じ道を辿る懸念もないではない。

なお、森田取締役は、「今後、環境影響評価をきちんと継続するとともに、自社の情報も発信し、地域の理解を深めていく」との方針を示している。

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