サニックス、2期連続黒字 方針転換で再建進む
サニックスが復活を遂げた。一時は経営危機に瀕していたが、2017年度決算で2期連続の黒字化を果たした。再建への道程やいかに。
今年5月、低圧太陽光発電所の建設で全国展開するサニックスが、18年3月期の決算短信を発表した。連結の売上高は499.9億円と前期比2%の微減で推移したが、純利益は同比2.8倍の11.8億円と大幅増益、2期連続の黒字を達成した。
同社は14年度と15年度に、それぞれ50億円と46億円の最終赤字を計上したが、15年度より早期退職者を募って人員を整理したほか、店舗の統廃合など資産整理を実行。17年度には太陽光部門の人員を他部門へ異動させ、太陽光部門の支出を抑えた。
これにより、太陽光部門の売上高は前期比32%減の178億円だったが、営業利益は16億円とほぼ横ばい。中期経営計画の利益目標をやや超えた。
19年度の予想では、16年度初めに発表した中期経営計画の想定よりもFIT売電単価の下落が進んだことから、売上高の計画値を172億円から135億円へ下方修正。今年度の売上高と比べ24%の減収となるが、営業利益は13.6億円から15億円へ上方修正した。人員の異動と部材費低減で実現するという。
ただ、連結業績の株主資本額は、13年度末の117億円から赤字期に減少し、17年度末は40億円だ。再び過去と同規模の赤字に陥れば、債務超過に陥る危険性もなくはないが、同社の井上公三取締役は、「会社全体が大幅な赤字に陥る恐れは小さい。太陽光、住宅・ビル衛生、環境資源開発の各事業をバランスよく展開しているためだ」という。
確かに、かつての大赤字の引き金は、14年の九州電力による太陽光発電の接続検討の中断、いわゆる〝九電ショック〟だった。しかも当時太陽光部門の売上高は全体の75.6%を占めており、打撃が全社に及んだ。当時と比べ、現在は部門ごとの事業規模の差を低く抑え、リスクを分散している。
太陽光部門も、低圧太陽光発電所の施工に集中していた従来と比べ、幅が広がった。4月に中古太陽光発電所の取引に参入したほか、19年問題による自家消費需要を見据え、住宅用蓄電システムの販売も強める。
ただ、新事業はいずれも着手した段階。今年度は太陽光発電所の施工が主たる事業となる見込みだ。FIT終了の兆しも見え始めたいま、新事業の本格化が急がれる。