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「再エネ比率30年30%以上が見えた」

東京理科大学大学院 イノベーション研究科 橘川武郎 教授

今回のエネルギー計画の見直しには3つ問題点がある。1点目は元々のエネルギーミックスに問題があったこと。2点目はミックスの決定から3年以上経ったが、その間の変化が反映されていないこと。そして3点目はエネルギー情勢懇談会で決められた50年に向けたエネルギー戦略と辻褄が合わないことだ。

まず1点目に関しては、再エネ、とりわけ太陽光、風力、地熱の比率が少なかった。特に太陽光は当時すでに80GWくらい手が上がっていたはずだが、目標数値を64GWにされて水をかけられた。風力、地熱に関してもポテンシャルの割に低かったと思う。穏便に見積もっても、太陽光は7%ではなく10%、風力は2%ではなく5%、地熱は1%ではなく2%まで上げて、再エネ30%というのが妥当だろう。

2点目の変化についてだが、特に太陽光発電はこの3年間でコストが劇的に下がった。中東だとkWhで2セント(約2円)切っているとも聞く。ただ、変動電源で、調整電力が必要ということは変わっていない。また、系統の問題もあるが、廃炉になる原発の分に関しては確実に余るので、そこは解放すべきだ。

この3年間で、原発は15基廃炉が決まり、いまだに手を挙げていないのが16基ある。申請しているけど許可が降りていない、許可が出ているにも関わらず動いていないところも多くあり、少なく見積もっても30基は廃炉になる。すると、かなり甘めに見積もっても、30年15%が限界だと思う。本当に20~22%を目指すのであれば、今回リプレイスの議論をすべきだったが、先延ばしにした。きちんとリプレイスしながら、依存度を下げていく。この正面突破でいかない限り、原子力という選択肢は消えるし、今回でそれが分かった。深読みすれば、再エネ30%は間違いなくいくというのが見えた審議会だったと思う。

そして3つ目が特に問題なのだが、再エネを主力電源化するといったにも関わらず、30年の数値目標が変わらなかった。50年に主力電源を目指すのであれば30年の目標も変えるのが当たり前で、そこを変えないというのは、口先だけでやる気がないという風にしか見えない。

エネルギー供給構造高度化法で、30年に非化石電源を44%にすると義務化しているが、原発15%ならば再エネはやはり30%になる。

再エネの主力電源化を目指すということは、ある意味で政府が再エネ市場は伸びていくと保証したわけだ。それなのに、太陽光パネルが売れないなどと言っている場合ではない。パネル販売以外にも、これまでに稼働した発電所に対するサービス提供や、新規であれば屋根上設置など、まだまだ可能性はある。太陽光企業は、国など気にせず積極的に事業展開を進めていくべきだ。

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