シャープ『ブラックソーラー』国内生産中止の噂
シャープが高効率太陽光パネル、『ブラックソーラー』の生産を海外に移管するという噂が流れている。真偽やいかに。
2011年発売のブラックソーラーシリーズは、電極を裏面に配置して受光面積を拡げるバックコンタクト構造のセルを用いたシャープの旗艦モデル。現在の最上位品は、出力256W、パネル変換効率19.6%で、世界最高水準のパナソニック製パネルに匹敵する高効率な製品だ。
それだけに、シャープは、経営不振に陥った際、太陽電池の生産を縮小・移管したものの、ブラックソーラーだけは自社工場での生産を続けた。
しかし今年に入り、ブラックソーラーの生産まで海外に移管する噂が流れ始め、ある関係者は、「海外メーカーに価格で対抗するためだろう」という。事実、太陽光パネルの価格は下落し続け、中国メーカーの卸値はWあたり40円を下回る場合もある。国内メーカーの半値程度だ。
昨年3月に京セラが三重工場を、今年3月にはパナソニックが滋賀工場をそれぞれ閉鎖し、パネルの組立工程を海外に集約すると発表したが、シャープも同様に国内生産に見切りをつけたのだろうか。シャープの広報部は「回答はさし控えたい」と取材を拒否。真偽は不明のままである。
ともあれ、シャープは昨年12月、1年4ヵ月ぶりに東証1部に復帰。18年3月期には、702億円の最終黒字を果たすなど、鴻海傘下で経営改善が進んでいる。噂が事実ならば、なぜこの時期に太陽光パネルの生産を移管する必要があるのか。少なくとも同社の販売代理店には詳しく説明するべきだろう。