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「パネル税の目的は防災」

岡山県美作市 萩原誠司市長

なぜ太陽光パネル税を導入するのか。美作市長に聞いた。

──パネル税導入の経緯は?

作東で建設予定だった大型メガソーラーに関しては、調整池の設置を含む水防工事などの安全性を確認し、発電事業者と実施協定を結んだ。しかしその後に水防法の改正に伴い、岡山県が防災上の重要事項である災害想定を変更した。吉野川流域における24時間の最大降雨量の想定を、従来の200㎜程から600㎜程へ大きく修正したのだ。

発電事業者が600㎜に耐え得る設計にし直すには追加投資が必要で、現実的ではない。そこで市が代わりに防災工事を手掛けるので、費用を事業者に負担してもらうというパネル税の発案に至った。

──集めた税金をどう使う?

治水対策や内外排水対策、避難場所移転、消防施設移転などである。いずれも太陽光発電所の建設に伴って必要となる環境対策事業だ。すべてリストにまとめて公表している。

──過去に建設したものも含めて出力10kW以上の地上設置型太陽光発電所をすべて対象としたのはなぜか。

県が後から災害想定を変え、それに対して市として新しい防災対策を講じる必要があったからだ。

小規模な太陽光発電所は明らかに危険だと分かるものも多い。実際、雨天時に発電所から落石があって、道路に石が転がり危険だという報告もある。雨天時の落石は水が流れている証拠で、流下能力に対する負荷をかけているということ。小規模でも太陽光発電所の建設は少なからず環境へ負荷をかけているのだから、市の防災対策の一部を負担してくださいということである。ただし小規模で田に設置した発電所など、環境への負荷がないと思われるものは除外する案に修正した。

──発電事業者の意見は?

県外の発電事業者はほぼ全員が反対している。ただ県内の事業者は何割かの人が賛成している。市内に住む人は水害への意識がある。

──市議会議員の意見は?

賛成意見が多い。太陽光発電の危険性を認識しているからだろう。だが、今回初めてのことだから、丁寧なプロセスを踏んで決めたいということだろう。審査に時間がかかっている。

──パネル税が導入されれば、先行事例となって他の自治体にも広がりそうだが。

想定される最大降雨量が200㎜から600㎜に変わったのはかなりのレアケースだ。岡山県内でも市では美作市だけ。我々が導入したからといって、他の自治体が導入するのは難しいだろう。

──再エネの主力電源化という国の政策と逆行しないか。

市は太陽光発電に反対ではない。安全にやって欲しいということである。防災対策について事業者が個別にするよりも、市が工事をする方が国の補助なども活用でき、結果、事業者の負担を減らすことになる。

──発電事業者との対話は?

小規模事業者などまだまだ情報を提供する必要がある。順次個別に説明し、意見を聞いている。

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