『エネルギー永続地帯』195に
千葉大ら調査
千葉大らは2023年6月、市町村を対象とした再エネ供給などの実態調査の結果を公表した。地域脱炭素化に向け、再エネの普及が広がりつつあるようだ。(本誌・土屋賢太)
千葉大学大学院社会科学研究院の倉阪秀史教授と環境エネルギー政策研究所のグループは、全国の市町村を対象に2021年度の再生可能エネルギーの供給状況をまとめた。域内の再エネ電源や熱供給源の供給量が域内の農林水産業部門と民生部門の電力と熱の需要量を上回る地域を『エネルギー永続地帯』と定め、調査したところ、21年度にエネルギー永続地帯を達成した自治体が20年度比9.6%増の195にのぼったという。
倉阪教授は、「再エネの導入量が増加し、エネルギー永続地帯が増えた。21年度の再エネ電力供給は前年度比8.2%増で、とりわけ太陽光発電が11.1%増と牽引していた」と状況を語る。
なお、エネルギー永続地帯の指標には、産業部門と運輸部門の電力や熱需要が除外されている。あくまでも地域脱炭素化への段階的な状況を示した指標である。
一方、千葉大らは農林水産省の『地域食料自給率計算シート』を用いて市町村別にカロリーベースの食料自給率を算出。食料自給率が100%を超えた自治体は552にのぼり、エネルギー永続地帯かつ食料自給率100%を達成した自治体の数は20年度比16.6%増の105だったという。
倉阪教授は、「自治体は脱炭素化に向け、積極的に再エネを導入している。今後もエネルギー永続地帯は増えていくだろう」と語る。
経産省や農水省によると、21年度の国内におけるエネルギー自給率は13.3%で、食料自給率は38%だった。双方とも決して高い数値ではないが、今後の再エネの普及によっては、市町村単位で各々100%を超える自治体が出てくるかもしれない。