大寒波が日本列島襲来も大雪による架台倒壊はなし!?
追尾式流行の兆し
もちろん、雪を溶かしやすいという太陽光パネルの特徴は、利点でもある。
福井県で最も積雪量が多い大野市では、1月13日午後5時時点で97㎝の積雪を観測した。翌14日、市内の至る所で除雪に励む住民の姿を見かけたが、そんななか屋根上に太陽光パネルを設置してある住宅を見ると、午前11時過ぎの段階ですでにパネル上の雪はすべて溶け落ちていた。その家に暮らす女性は「雪かきが楽になる」と嬉しそうに話す。
大野市は太陽光発電には不向きな土地かもしれないが、特徴的なのは追尾式架台を採用した太陽光発電設備が点在していることだ。雪で覆われた畑に複数の設備が並び、一軒家の庭に1基だけ設置してある設備もあった。いずれもパネルに雪はかかっていない。
「大野市内の追尾式設備はすべて当社が建設した」と語るのが、大野市に本拠を構える販売・施工会社SP電機の前田義也社長である。同社は09年から追尾式太陽光発電設備の取扱いを開始し、現在までに約1000基販売したという。
「人がやらないことをしようという考えと、積雪対策という観点から、追尾式架台の販売・施工に取り組んでいる」(前田社長)。積雪時にはパネルを地面に対して垂直に向ければ、雪は積もらなくなる。
前田社長は、「太陽光パネルは2㎝程度雪が積もれば発電しない。大野市では、1月と2月に積雪によって野立ての設備がほとんど稼働しない時期がある。追尾式は固定式と比べれば、初期費用がkWあたり1.2倍高いが、発電量は約1.7倍ある」と追尾式架台の利点を説く。架台の設計はSP電機が手掛け、製造は大野市の鉄工所、加藤製缶に発注。まさに大野市で生まれた積雪対策だ。
積雪地域は太陽光発電には向かないといった考えは、もはや時代遅れなのかもしれない。