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来年度入札の議論進む

上限価格非公表、保証金の没収条件緩和へ

低調に終わったメガソーラーの入札制度。来年度は、募集容量を2回計500MW、上限価格を非公表とする方向だ。保証金の没収条件が緩和される見通しだが、果たして入札制度は機能するのだろうか。(本誌・楓崇志)

昨年12月27日に開催された第34回調達価格等算定委員会。議題のひとつが来年度の入札制度で、事務局は初回入札の結果をもとに2018年度における入札制度の変更案を提示した。

主な内容は次の通りだ。①18年度に2回実施する入札の認定取得期限はいずれも19年3月末。②上限価格の事前公表はしない。③第2次保証金の没収条件を緩和。④入札募集容量はそれぞれ250MWとし、第2回の応札容量が250MWを下回った場合、第3回の入札量を第2回の応札量と同量に設定する。

③については、「事業者が自ら定めた運転開始予定日を超過して運転開始しなかった場合」を没収事由から削除するほか、期限までに認定取得できなかった場合、落札者決定は取消すが、期限経過後の最初に実施される入札に参加し、当初落札価格以下の価格で入札すれば、当該入札の保証金として1回だけ充当できるという案を提示した。加えて、災害や戦争などの不可抗力事由を保証金没収の例外に位置づけた。

ただ、これらは接続契約締結に関する例外規定ではないため、18年度入札で落札し、認定を取得するには、9ヵ月の標準処理期間を考慮しながら、19年3月末までに接続契約を締結する必要がある。事業者は土地を確保しつつ、林地開発なども含めた事業性評価を急がなければならない。

初回入札では9件141MWが落札されたが、そのうち5件は第2次保証金を期限までに納付せず、12月6日付で権利を取り消された。結局、残った落札案件はわずか4件41MWとなってしまったのだ。

第2次保証金はkWあたり5千円であり、10MWで5千万円。本当に今年3月5日の認定取得期限に接続契約締結が間に合い、3年以内に運転開始できるのか。実現可能性を検討した結果、事業化の断念という結論に至ったのだろう。

ある程度の応札量がなければ競争原理が働かず、入札制度の目的であるコスト低減が進まない。募集容量を初回から半減させ、上限価格を非公表に、保証金没収条件も緩和する方向だが、接続契約締結を年度内に締結しなければいけない点は変わらない。1回に限り、第2次保証金を繰り越せるようにしたものの、今回の修正で入札参加を促し、コスト低減を進められるのか。

第2回入札の事業計画提出の締切日は5月31日、入札募集の締切日は8月24日、入札結果の公表は9月4日の予定だ。

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