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ABBパワコンで相次ぎノイズ障害

JFEプラントエンジが賠償調停申し立て

ABBパワコン、過去に同様の被害多数か

だが、新たな事実が浮上した。ノイズを発生させたABBのPVS800、実は今回の問題が発覚する前にも高調波ノイズ障害を発生させていたのだ。しかも数件ではない。JFEプラントエンジがABBジャパンから受けた報告によると、コンデンサの異音被害は20件以上もあったという。

これについて、ABBジャパンは、過去にも高調波ノイズ障害があったことは認めたが、佐藤氏は、「PLC設備すべてに高調波の影響が起こるわけではなく、ごく限られた条件下で障害が発生する可能性があった」とし、「問題が生じた場合は、EPC企業と協力して解決してきた」という。

ならば、PVS800をJFEプラントエンジに販売する際、ABBジャパンはノイズ障害が起こり得るリスクを事前に説明しておかなければならないはずだが、どうだったのか。

JFEプラントエンジは、「ABBジャパンは説明責任を果たしていない。事前に説明があればABBのPCSを選ばなかった」と憤り、ABBジャパンに賠償責任を求めようとしている。

ABBジャパンの佐藤氏は、「電力会社の系統運用がブラックボックスなので対策について知ることができず、個別対応するしかなかった。系統設備の互換性の問題で高調波障害が発生する可能性については、事業者とEPC企業に一貫して注意を促してきた」とするに止め、JFEプラントエンジに対して事前に説明したかどうかについては、「コメントできない」と答えた。

一方、PCS技術に詳しいある商社筋からは、「ABBの一部PCSは、制御の特性上、高調波によってコンデンサが共振してしまう可能性が高い」との証言もある。ABBの大型PCS、PVS800を採用したEPC企業や発電事業者は、今一度注意が必要かもしれない。

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