中レネソーラ、日本法人閉鎖
パネル販売低迷 5期連続赤字が原因か
太陽光パネルメーカーの中レネソーラが日本法人レネソーラ・ジャパンを閉鎖した。5期連続赤字に陥り、経営が悪化するなか、日本向けパネル販売も低迷していた。発電所開発で再建したい考えだが、前途は多難だ。
レネソーラが創業したのは2005年。当初はシリコンウエハの製販が中心だったが、徐々にセル、パネルの製販を伸ばし、ピーク時の13年には世界へ太陽光パネルを3146MW出荷した。
12年にレネソーラ・ジャパンを設立し、日本市場へ本格進出すると、60セルと72セルの結晶シリコン系パネルを販売。14年には日本向けの出荷量を481MWまで伸ばした。そこで14年にはバイテック、サンエスと共同出資で栃木県大田原市に工場を開設。自社ブランドのパネルを日本で生産し、販売拡大の足掛かりを得ようとしたのだ。
だが、かなわなかった模様で、15年の出荷量は437MWへ減少。16年には124MWと、前年の3分の1にも満たない量まで販売が失速した。確かに15年から16年にかけて日本のパネル市場は縮小したが、それでも3割ほどの減少幅だ。市場環境の変化に加え、他の要因で販売を大幅に落としたものと思われる。
たとえば、ある専門商社の営業担当者は、「14年頃に親会社からレネソーラ製パネルの取り扱いを控えるよう通達があった。レネソーラが製造委託していた工場が変わってセルの質にムラが出るようになったと聞いている」と話す。
ともあれ、レネソーラの財務状態は悪化の一途を辿っている。12年以来5年期連続赤字で、赤字幅は15年の510万米ドル(約5億6600万円)から16年には3470万米ドル(約38億5千万円)へ拡大した。
こうした状況が日本撤退の要因と思われるが、同社のIR担当者は日本法人の閉鎖について「事業内容を開発分野に全転換した。そのうえで、欧米のメガソーラーや中国の住宅用太陽光発電といった案件開発に資本を集中させるため、日本拠点は閉鎖した」と、あくまでも事業再編の一環であると強調する。
今後は、国内総代理店を置くとの情報もあるが、同社はアフターサービスを中国本社の人員で引き継ぐと明言。日本からは完全に手を引く姿勢が濃厚だ。
レネソーラはパネル生産部門を本社から分離し、CEO(最高経営責任者)である李仙寿氏の個人経営下に組み込んだという。それにより自社の開発案件向けにパネル生産を続けるとのこと。他社への販売継続については不明な状況だ。