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パナソニック、テスラと太陽電池の協業決定

米ニューヨークに新工場19年1GW規模へ

年の瀬も差し迫った12月末、パナソニックと米テスラ・モーターズが太陽電池分野での協業で正式に合意した。両社は2017年夏より米ニューヨークで太陽電池の生産を開始する。19年末には1GW規模まで拡大する計画だ。海外展開を本格化させるパナソニックにとって、重要な一歩となりそうだ。

パナソニックのマレーシア工場。太陽電池セル・モジュールを生産、その一部が米国市場にも出荷される

12月27日、パナソニックとテスラは合意書に正式にサインした。その内容は、テスラ子会社であるソーラーシティが米ニューヨーク州バッファローに構える工場にて、パナソニックが太陽電池セル・モジュールを生産するというもの。両社は生産した太陽電池について、10年の長期売買契約を締結。テスラは、建材一体型としての販売や蓄電池とのセット提案も行っていくという。

新工場では、17年夏に生産を始め、19年には年産1GWへ拡大させる。生産するのはヘテロ接合型太陽電池。つまり『HIT』である。すでに建屋は完成しており、パナソニックは生産設備へ累計300億円超の投資を行う予定だ。米国における雇用創出効果も謳っており、1GW体制時には1400名以上の雇用を生み出すとしている。

両社は10年近くにわたり、自動車用電池分野で信頼関係を築いてきた。昨年10月からは太陽電池分野での協業に関する検討を開始し、このほど合意に至った。パナソニックは、太陽電池事業において海外市場の開拓を重要なテーマとして掲げており、そのことからも今回の協業の意味合いは大きい。

パナソニックエコソリューションズ社エナジーシステム事業部ソーラーシステムビジネスユニットの吉田和弘ビジネスユニット長は、「米国は今後も成長が期待できる市場だ。その市場において、ソーラーシティは住宅用PVでトップシェアを持ち、年間1GW程度の販売量を誇る。限られた面積で高い出力を出せる特徴は米国でも活かせる。バッテリーだけでなく太陽電池でもウィンウィンの関係を築いていきたい」と語る。

実際に新工場が稼働するのは今夏のため、まずはマレーシア工場から出荷していくようだが、マレーシアでは海外向けのほか、日本向けも生産している。数量が増えれば、現在休止している二色の浜工場の再稼働が現実味を帯びる。吉田BU長は、「一部はセルでの供給も考えており、それらも含めて二色の浜工場を17年中に動かしたい」と語る。

また、今回の協業で、パナソニックの生産能力は、2GW規模と一気に倍へと引き上がる。生産増強によるコスト競争力の強化も狙いのようだ。「効率や性能、信頼性が高いことに加えて、コスト競争力を高めることにより、国内外で拡大していきたい」(吉田BU長)。

FITバブルが終焉し、国内市場が曲がり角を迎えるなか、日系PVメーカーのグローバル戦略の比重は増している。だが、生産量に勝る中国勢にコスト勝負を挑むのは難しい。やはり高効率や信頼性といった付加価値がポイントだ。国内でも高効率や信頼性を追求してきたパナソニックが一歩先へ飛び出せるのか。日の丸太陽電池にとっても重要な試金石となる。

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